今回はスーダンの人口構成にフォーカスしてみます。
なお、他の国との人口規模については、こちらで比較しております。
ここではアフリカの経済指標についてざっくり整理します。 アフリカと一言でいっても、アフリカ連合に加盟している国だけでも55か国もあります。なお、外務省のHPを確認すると2021/2/5時点で54か国となっていますが[…]
スーダンの基本情報
スーダンはリビア、エジプト、チャド、南スーダン、中央アフリカ共和国、エチオピア、エリトリアを隣国にもつ北アフリカの国です。
スーダンの人口は2016年時点で約4,100万人とアフリカで8番目に人口の多い国です。
一方、人口密度は22人/km2とアフリカ平均の40人/km2の半分程度です。
一人あたりGDPは2016年時点で4,300ドルとアフリカ平均の5,000ドルの9割程度です。
アフリカ諸国の基本的な経済指標については以前まとめていますので、そちらを参照してください。
ここではアフリカの経済指標についてざっくり整理します。 アフリカと一言でいっても、アフリカ連合に加盟している国だけでも55か国もあります。なお、外務省のHPを確認すると2021/2/5時点で54か国となっていますが[…]
人口の見通し
スーダンの人口構成についての分析を示したこのグラフから、今後の人口増加や年齢別構成の変化が明確に読み取れます。1950年の段階で人口は620万人程度でしたが、急速に増加し、2100年には1億3,690万人に達すると予測されています。特に、15歳未満の若年層(青の部分)の割合が依然として高い一方で、30歳以上の人口も確実に増加していく見込みです。これに伴い、65歳以上の高齢者人口も2100年には大幅に増加し、全人口のかなりの割合を占めるようになると予測されています。
スーダンの社会構造においては、15〜29歳の働き盛りの若年層(オレンジの部分)が引き続き重要な役割を果たし、経済活動の中心となっていくことが期待されます。一方で、50歳以上の中高年層(黄色、青、緑の部分)も増加していくため、医療や社会保障制度の整備が今後の課題となるでしょう。
出典:UN World Population Prospects 2024
なお人口の平均成長率は1950-2020年では2.9%ほどであり、この先については2020-2050年が2.0%、2050-2100年は0.9%の見通しです。
人口構成の見通し
こちらのスーダンの人口構成のグラフは、各年齢層の人口比率の変遷を示しています。1950年から2023年現在までの実線と、将来予測を表す点線により、年齢別の割合の推移が分かりやすく描かれています。
0〜14歳の青色のラインは、初めは50%以上を占めていたものの、今後は徐々に減少していく見込みです。これは出生率の低下が予測されているためであり、将来的には子供の割合が減り、全体の人口構成が年齢層の広がりを見せることが示唆されています。
一方で、15〜29歳の若年層(オレンジ色)は、安定した割合を保ちながらもやや低下する傾向が見られ、30〜49歳(灰色)や50〜64歳(黄色)の割合が今後増加していくことが予測されています。特に、65歳以上の高齢層(青と緑のライン)は増加し、医療や社会保障の面での対応が必要になると考えられます。
出典:UN World Population Prospects 2024
人口ボーナス・人口オーナス
豊かな労働力は経済成長に寄与しますが、その労働力の豊富さを図る指標として人口ボーナスと人口オーナスというものがあります。
野村証券によると人口ボーナス(および人口オーナス)を以下のように定義してます。
生産年齢人口(15~64歳)に対する従属人口(14歳以下の年少人口と65歳以上の老年人口の合計)の比率が低下し、経済成長を促すこと。人口ボーナス期では豊富な労働力を背景に個人消費が活発になる一方、高齢者が少なく社会保障費用が抑えられるため、経済が拡大しやすい。逆に従属人口の比率が相対的に上昇することを人口オーナスという。
このグラフは、スーダンの「人口ボーナス/オーナス」を示しています。人口ボーナスとは、働き手となる生産年齢人口(15~64歳)の割合が高まり、経済成長が期待できる状態を指します。逆に、オーナスは高齢化などによって経済的な負担が増える状態です。
このグラフでは、1950年から2023年現在までの実線と、今後の予測を示す点線が描かれています。1960年代から2000年代初頭にかけては、人口ボーナス効果が限定的でしたが、2000年代以降、緩やかに上昇し始め、2020年代以降には急速に効果が高まっていることが分かります。この傾向は2060年代まで続き、ボーナス効果がピークに達すると予測されています。
しかし、2060年代後半からは人口ボーナスの効果が減少し始め、徐々にオーナス効果が高まると考えられています。
出典:UN World Population Prospects 2024に基づく推計
男女別の学歴構成
以下は1950-2015年までの男女別の最終学歴の構成です。
ここでは15歳未満は就学前も、在学中も卒業者もすべて合わせています。残りの5つの学歴については15歳以上を対象としています。
出典: Wittgenstein Centre for Demography and Global Human Capitalに基づく推計
スーダンは他のアフリカの国と同様に未就学シェアが1950年以降急激に減少しており、1950-2015年の期間では男性は55%から33%、女性は56%から38%まで減少しています。
一方、高卒および専門・大卒以上は増加しており、男性はそれぞれ0.1%から9.7%、0.0%から4.5%と拡大しています。
同様に女性も学歴化が進み、高卒および専門・大卒以上はそれぞれ0.0%から8.3%、0.0%から3.7%と、男性と比べるといまだにギャップは残るものの教育水準は改善しています。
都市部と農村部人口の構成と人口密度
このグラフは、スーダンの「都市部人口シェア」と「人口密度」の推移を示しています。都市部人口シェア(青い線)は、1960年代の10%程度から急速に増加し、2020年代には30%を超え、最新のデータでは35%近くに達しています。これは、都市化が進み、より多くの人々が都市部で生活するようになっていることを反映しています。
また、都市部の人口密度(右軸、青い点)は1990年から上昇を続け、2020年代には3,414人/km²に達しています。一方、農村部の人口密度(右軸、赤い点)はわずかに増加しているものの、都市部に比べると極めて低く、2020年代でも14人/km²に留まっています。このデータから、都市部への人口集中が顕著であることがわかります。
都市化の進展に伴い、スーダンでは都市部でのインフラ整備や住環境の改善が急務となっています。また、農村部との格差解消も課題として浮上しており、今後の持続可能な発展には都市と農村のバランスの取れた成長が求められるでしょう。
出典:World Development Indicators, 2024/09に基づく推計
さいごに
スーダンの人口構成と見通しの特徴は以下のとおりです。
スーダンの人口構成と都市化の動向を見ると、若年層が多く将来的な人口増加が予測される一方で、都市部への人口集中が進んでいることがわかります。これにより、都市部ではインフラ整備や住環境の改善が求められ、農村部との格差も課題として浮上しています。持続可能な発展を実現するためには、都市と農村のバランスを考慮した政策の実施が重要となるでしょう。また、今後の高齢化に備え、福祉や医療体制の強化も必要とされることが予想されます。スーダンが抱えるこれらの人口動態の課題は、同国の未来に大きな影響を与えるでしょう。
なお、労働については以下の記事で取り扱っていますので、是非ご覧ください。
今回はスーダンの労働関連のデータについて簡単に整理します。 スーダンの基本情報 スーダンはリビア、エジプト、チャド、南スーダン、中央アフリカ共和国、エチオピア、エリトリアを隣国にもつ北アフリカの国です。 […]