サントメプリンシペの経済予測:World Economic Outlook Database, October 2023

今回はサントメプリンシペの経済予測について取り上げます。

使用しているデータは国際通貨機関(IMF)が年に2~4回刊行しているWorld Economic Outlook(WEO)を用いています。

WEOでは最新のデータに基づき予測を毎回改訂していますので、過去のデータを顧みることで予測の不確実性を理解したうえで有益なツールとして使用することが望まれます。

 

サントメプリンシペの基本情報

サントメプリンシペは赤道付近に位置するギニア湾に浮かぶアフリカの島国です。

サントメプリンシペの人口は2016年時点で19万人とアフリカでは2番目に人口の少ない国です。

一方、人口密度は203人/km2とアフリカ平均40人/km2の5倍以上あり、アフリカでは6番目に高い水準です。

 

一人あたりGDPは2016年時点で3,600ドルとアフリカ平均の5,000ドルの7割程度です。

アフリカ諸国の基本的な経済指標については以前まとめていますので、そちらを参照してください。

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また、アフリカ諸国間のGDP成長率の相関については、以下をご覧ください。

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国際比較ランキング

GDP成長率

以下のグラフは2023~2028年におけるアフリカ諸国の実質GDP成長率のランキングを示しています。

また、参考国として米国、中国および日本を並記しています。当該期間では、中国は4.1%、米国は1.9%、日本は0.8%と予測されており、日米に関してはアフリカ諸国と比較すると非常に低水準となっています。

 

サントメプリンシペに関しては、同期間では2.8%ほどの経済成長を見込まれており、アフリカ諸国の中では46番目に高い水準となっています。

予測GDP成長

出所:World Economic Outlook Database, October 2023

 

時系列推移

GDP成長率・一人あたりGDP

以下は2000年以降のGDP成長率(左図)および世界に占めるGDPシェア(右図)の実績値と過去の数時点および直近(Latest)のWEOの予測を表しています。

サントメプリンシペのGDP成長率は2000年と新型コロナ後の2022年を除くとおおよそ2-6%ほどで安定して推移しています。

 

しかし、過去のWEOの予測を見ると、おおよそ6%程度の経済予測を見込まれることが多く、やや過大評価されていることが多くなっています。

直近のWEOにおいては2028年にかけて4%ほどと見込まれていますが、過去の評価バイアスを考慮すると楽観的な予測と考えられる。

 

世界に占めるGDPシェアは非常に小さく実績値は2000年の0.00%ほどであり、2028年にかけても変化がないとみられています。

サントメプリンシペのGDP予測

出所:World Economic Outlook Database, October 2023

 

次に以下のグラフは一人あたりの実質GDPの推移を表しています。

サントメプリンシペの一人あたりGDP予測

出所:World Economic Outlook Database, October 2023

 

単位は国際比較で用いられる2017年PPP換算(米ドル)を用いています。PPPについては以下の記事でまとめていますので、こちらも参照ください。

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一人あたりGDPについては、2000年では2,500ドルほどであり、2022年には3,500ドルほどまで上昇しています。

しかし、最新のWEOでは2028年にかけても2022年の水準から変わらないと見込まれています。

 

インフレ率

以下は2000年以降の年次インフレ率(左図)および2000年を基準としたインフレ指数(右図)の実績値と過去の数時点および最新のWEOの予測を表しています。

 

サントメプリンシペではインフレ率は2000年代では多くの年次で10%超でしたが、2010年代では10%以下に収束しています。

過去のWEOを見るとインフレ率は5%以下へ収束すると予測されることが多いものの、過去の実績において5%以下を達することはなかったことから、直近のWEOにおける2028年の5%は楽観的と思われます。

 

インフレ指数は2000年を100とすると、実績値では2022年は1,300ほどとなり、さらに2028年の見込みでは2,000程度まで上昇すると見込まれています。

サントメプリンシペのインフレ率予測

出所:World Economic Outlook Database, October 2023

 

なお、過去の物価変動について知りたい方は、以下の記事もご覧ください。

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政府の歳入歳出・負債

以下は2000年以降の政府の歳入(左図)と歳出(右図)の実績値と過去の数時点および最新のWEOの予測を表しています。

2000年ではGDP比で歳入は60%、歳出は10%と大幅な黒字財政でしたが、2022年になると歳入はGDP比で25%、歳出は28%と赤字に転化しています。

また、直近のWEOの予測では2028年ではそれぞれ22%と25%と見込まれており、赤字収支は継続すると予測されています。

サントメプリンシペの歳出歳入

出所:World Economic Outlook Database, October 2023

 

さらに以下は政府の総負債(左図)と純負債(右図)の推移を表しています。

なお、純負債は総負債から債務証券に対応する金融資産(金・SDR、通貨・預金、負債証券、貸付金、保険・年金・標準保証制度、その他売掛金など)を除いたものをさします。

(ただし、サントメプリンシペについては純負債のデータは公表されておりません。)

サントメプリンシペの債務

出所:World Economic Outlook Database, October 2023

サントメプリンシペのGDPに対する総負債比は2001年では400ほどでしたが、2008年には50ほどまで改善するものの、その後は上昇へ転じ、2022年には80ほどまで悪化しています。

しかし、直近のWEOでは2028年には50ほどまで改善すると見込まれています。

 

さいごに

今回使用しているWEOは常時データを改訂しています。

特に近年では新型コロナの状況により予測値が大幅に改訂することありますので、新型コロナについて状況を知りたい場合は以下の記事を参照ください。

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