スーダンの成長会計:全要素生産性(TFP)、資本ストック、労働投入量

TFP

今回はスーダンの経済成長を成長会計の観点からフォーカスしたいと思います。

成長会計とは、経済成長の内訳の要因を明らかにしようとするものであり、基本的に労働投入、資本投入、これら2つ以外で成り立つ全要素生産性(TFP: Total Factor Productivity)の3つ分解されます。

また、TFPとは労働生産や資本投入で説明できない要因であることから、技術進歩や生産の効率化などの要因に相当すると解釈されます。

 

そこで、この記事では経済成長を表すGDP成長率、そして労働、資本、全要素生産性について触れています。

 

スーダンの基本情報

スーダンはリビア、エジプト、チャド、南スーダン、中央アフリカ共和国、エチオピア、エリトリアを隣国にもつ北アフリカの国です。

スーダンの人口は2016年時点で約4,100万人とアフリカで8番目に人口の多い国です。

一方、人口密度は22人/km2とアフリカ平均の40人/km2の半分程度です。

 

一人あたりGDPは2016年時点で4,300ドルとアフリカ平均の5,000ドルの9割程度です。

アフリカ諸国の基本的な経済指標については以前まとめていますので、そちらを参照してください。

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また、アフリカ諸国間のGDP成長率の相関については、以下をご覧ください。

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GDP成長率

以下のグラフはアフリカ諸国におけるGDPの平均成長率(左図:1970-2019, 右図:2000-2019)のランキングを示しています。

日本や米国は1970年以降の長期においては、おおよそ3%弱の経済成長を遂げていますが、2000年以降に限定すれば日本の成長率はほぼ0%に近くなっています。

 

一方、スーダンは長期では7番目の4.7%と比較的高い水準であり、2000年以降に限定しても18番目の5.7%と平均よりは高い成長率となっています。

アフリカ諸国のGDP成長率

出所:Penn World Table, version 10.0

 

就業率・就業者数

労働投入の主な要因となるのが、就業者数です。

以下のグラフはアフリカ諸国における人口あたりの就業率のランキングです。

日本は就業率が55%とアフリカのいずれに国に比べても高い水準となっています。

一方、スーダンは24%と米国の半分程度の水準であり、アフリカでは49番目となっています。

アフリカ諸国の就業率

出所:Penn World Table, version 10.0

また就業率の推移をみると、変動は大きいものの1970年以降上昇しています。

一方、就業者数自体は200万人から1,000万人へ比較的安定して増加しています。

出所:Penn World Table, version 10.0

労働の構成について気になる方は以下の記事もご覧ください。

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資本投入

経済成長に必要な資本投入は、投資から資本ストック化され、それを経由して資本投入につながるため、投資が起点となります。

以下はスーダンのGDPに占める最終消費項目のシェアの推移を表していますが、投資シェアは1970年代から2000年にかけてほぼ10-20%で推移していますが、2000年以降は徐々に上昇し、2010年には30%弱まで上昇しています。

しかし、その後は急落し、直近では10%を切る水準となっています。

出所:Penn World Table, version 10.0

 

投資により蓄積される資本ストックの推移を表したものが以下となります。

名目資本ストックシェアは物価の変動の問題もあり、2010年では急激に上昇してみえますが、実質資本ストックでは1970年以降ほぼ2.0程度で安定して推移しています。

出所:Penn World Table, version 10.0

 

また以下はアフリカ諸国における名目資本ストック比率のランキングを表します。

日本は5.2とアフリカでも比較的高位にありますが、米国は3.4とアフリカ諸国と比べて平均的な水準と言えます。

一方、スーダンは1.8とアフリカでは44番目であり、資本ストックは低い水準とあると考えられます。

出所:Penn World Table, version 10.0

 

全要素生産性(TFP)

以下のGDP成長率に占める要因の内訳を表します。(左図:毎年、右図:毎10年)

スーダンでは、1970年代から1990年代の経済成長は労働投入が大部分を占めていましたが、2000年代になると資本投入がGDP成長率の半分程度の寄与度を占めています。

また、1980年代、1990年代にはマイナスに寄与していたTFPは、2000年代および2010年代ではGDP成長率の1/3程度の寄与度を占めるほど改善しています。

出所:Penn World Table, version 10.0

さいごに

今回は成長会計の観点から経済成長を資本や労働に分解して見てきました。

経済について各産業の構成を知りたい方は、以下の記事もご覧ください。

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