ボツワナの人口構成と将来の見通し。年齢構成や学歴構成の変化を確認する

今回はボツワナの人口構成にフォーカスしてみます。

なお、他の国との人口規模については、こちらで比較しております。

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ボツワナの基本情報

ボツワナはアフリカ南部に位置する内陸の国です。

ボツワナの人口は2016年時点で約200万人と人口の少ない国です。

人口密度は4人/km2とアフリカ平均の40人/km2の1/10でアフリカでは3番目に人口密度の低い国です。

 

一人あたりGDPは2016年時点で16,000ドルとアフリカ平均の5,000ドルの3倍以上です。

アフリカ諸国の基本的な経済指標については以前まとめていますので、そちらを参照してください。

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人口の見通し

ボツワナの人口構成に関するこのグラフは、1950年から2100年にかけての変化を示しており、同国の人口動態の特徴を詳細に把握することができます。1950年の段階では人口が約40万人と非常に少ない状態でしたが、2020年には約240万人に達し、今後も増加が予測されています。ただし、2100年頃には人口が約380万人でほぼ横ばいになると見込まれており、人口増加のペースが徐々に落ち着くことが示唆されています。

年齢別構成を見ると、15歳未満の若年層(青の部分)の割合が1970年代から減少傾向にある一方で、15~29歳(オレンジの部分)や30~49歳(灰色の部分)の割合が増加し、労働力人口が長期間にわたって安定していることがわかります。また、50歳以上の中高年層(黄色、青、緑の部分)の割合も着実に増加しており、特に65歳以上の高齢者人口の割合が今後顕著に増える見込みです。

ボツワナの人口

出典:UN World Population Prospects 2024

 

なお人口の平均成長率は1950-2020年では2.5%ほどであり、この先については2020-2050年が1.2%、2050-2100年は0.2%の見通しです。

人口構成の見通し

ボツワナの人口構成に関するこのグラフは、1950年から2100年にかけての年齢層別の人口比率の変化を視覚的に示しています。1950年代には、15歳未満の若年層(青の線)が人口の約50%を占めており、人口の大部分が若年層で構成されていることが特徴でした。しかし、その後、出生率の低下とともにこの割合は徐々に減少し、2100年には約20%にまで下がると予測されています。

一方で、15~29歳(オレンジの線)および30~49歳(灰色の線)の働き盛りの年齢層の割合は長期的に安定しており、特に30~49歳の割合が21世紀半ば以降にわたり高い水準を維持することが示されています。これにより、労働力人口の安定が経済成長を支える要因となる可能性があります。

また、50歳以上の中高年層(黄色、青、緑の線)の割合は今後大きく増加すると予測されており、特に65歳以上の高齢者人口が21世紀後半に向けて着実に増えることが示されています。

ボツワナの人口構成

出典:UN World Population Prospects 2024

人口ボーナス・人口オーナス

豊かな労働力は経済成長に寄与しますが、その労働力の豊富さを図る指標として人口ボーナスと人口オーナスというものがあります。

野村証券によると人口ボーナス(および人口オーナス)を以下のように定義してます。

生産年齢人口(15~64歳)に対する従属人口(14歳以下の年少人口と65歳以上の老年人口の合計)の比率が低下し、経済成長を促すこと。人口ボーナス期では豊富な労働力を背景に個人消費が活発になる一方、高齢者が少なく社会保障費用が抑えられるため、経済が拡大しやすい。逆に従属人口の比率が相対的に上昇することを人口オーナスという。

ボツワナの人口ボーナスとオーナスを示したこのグラフは、1950年から2100年にわたる経済的な人口動態の変化を視覚的に表しています。この指標は、労働力人口(15〜64歳)が非労働力人口(0〜14歳および65歳以上)に対してどれだけの比率で支えられているかを示しています。

1950年代には人口ボーナスの値が約1.0と低い状態であり、労働力人口が非労働力人口をちょうど支える形でした。しかし、その後、出生率の減少とともに人口ボーナスは急速に上昇し、2030年から2040年ごろにはピークとなる2.0に近づくと予測されています。この時期は、労働力人口が非労働力人口の2倍に達し、経済成長にとって最も有利な状況が整うことを意味します。

しかし、2050年以降になると高齢化の進行により、非労働力人口の割合が増加し、人口ボーナスは徐々に低下すると予測されています。

ボツワナの人口ボーナス

出典:UN World Population Prospects 2024に基づく推計

男女別の学歴構成

以下は1950-2015年までの男女別の最終学歴の構成です。

ここでは15歳未満は就学前も、在学中も卒業者もすべて合わせています。残りの5つの学歴については15歳以上を対象としています。

出典: Wittgenstein Centre for Demography and Global Human Capitalに基づく推計

ボツワナは他のアフリカの国と同様に未就学シェアが1950年以降急激に減少しており、1950-2015年の期間では男性は55%から12%、女性は59%から11%まで減少しています。

一方、高卒および専門・大卒以上は増加しており、男性はそれぞれ0.3%から16,9%、0.1%から10.4%と拡大しています。

同様に女性も学歴化が進み、高卒および専門・大卒以上はそれぞれ0.1%から15.1%、0.0%から10.8%と、男性と比べるといまだにギャップは残るものの教育水準は少しずつ改善しています。

都市部と農村部人口の構成と人口密度

ボツワナの都市部人口シェアと人口密度の推移を示したこのグラフは、1960年から2020年までの都市化の進行状況を明確に示しています。1960年代には都市部人口シェアはわずか10%程度であり、大多数が農村部に居住していました。しかし、その後の経済発展や都市部への人口移動により、都市部人口シェアは急速に拡大しました。特に1990年以降の増加が顕著であり、2020年には約70%に達しています。

都市部人口密度(青の点線で表示)は一貫して上昇しており、1990年時点で1,150人/km²だったのが、2020年には1,925人/km²に達しています。このことは、都市化が進む中で都市部の人口が集中していることを示唆しています。一方で、農村部人口密度(赤の点線で表示)はほとんど変化がなく、農村部での人口の停滞や減少が見受けられます。

全体的な人口密度(オレンジの線で表示)は、ボツワナ全土での人口の増加を反映して徐々に上昇していますが、依然として低い水準に留まっています。

ボツワナの都市人口と人口密度

出典:World Development Indicators, 2024/09に基づく推計

 

さいごに

ボツワナの人口構成や都市化の進行を見ていくと、同国の経済的および社会的な変化の特徴が浮き彫りになります。人口は今後緩やかに増加する見込みであり、特に高齢者人口の増加が顕著になると予測されています。これに伴い、医療や社会保障システムの整備が急務となるでしょう。また、都市部への人口集中が進む中で、インフラ整備や交通機関の改善、都市計画の重要性が高まっています。一方で、農村部の人口減少や地域間の格差解消も課題として浮上しており、持続可能な地域開発が求められます。

ボツワナが今後も安定した成長を続けるためには、若年層の教育や雇用の機会を確保しつつ、高齢化社会への備えを進めることが重要です。

なお、労働については以下の記事で取り扱っていますので、是非ご覧ください。

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