今回はガボンの人口構成にフォーカスしてみます。
なお、他の国との人口規模については、こちらで比較しております。
ここではアフリカの経済指標についてざっくり整理します。 アフリカと一言でいっても、アフリカ連合に加盟している国だけでも55か国もあります。なお、外務省のHPを確認すると2021/2/5時点で54か国となっていますが[…]
ガボンの基本情報
ガボンは大西洋に面している中央アフリカの国です。
ガボンの人口は2016年時点で約180万人とアフリカでは比較的人口の少ない国です。
人口密度は6.6人/km2とアフリカ平均の40人/km2の1/7以下です。
一人あたりGDPは2016年時点で20,500ドルとアフリカ平均の5,000ドルの4倍程度あり、アフリカでは３番目に高い国です。
アフリカ諸国の基本的な経済指標については以前まとめていますので、そちらを参照してください。
ここではアフリカの経済指標についてざっくり整理します。 アフリカと一言でいっても、アフリカ連合に加盟している国だけでも55か国もあります。なお、外務省のHPを確認すると2021/2/5時点で54か国となっていますが[…]
人口の見通し
このグラフは、ガボンの人口構成を示しており、1950年から2100年にかけての各年代別人口の推移を表しています。全体的に人口は増加傾向にあり、特に若年層（0-14歳）と15-29歳の人口が大きな割合を占めていますが、将来的には高齢層の人口が増えることが予測されています。
1950年から2000年にかけては人口増加が緩やかでしたが、その後、特に30-49歳や50-64歳の成人層が増えています。これは都市化の進展や経済の安定化に伴う社会構造の変化が影響していると考えられます。一方で、65歳以上の高齢層の割合は、現時点では比較的小さいものの、21世紀後半には急速に増加する見通しです。80歳以上の人口も2100年には明確に拡大すると見られています。
出典：UN World Population Prospects 2024
お人口の平均成長率は1950-2020年では2.3%ほどであり、この先については2020-2050年が1.9%、2050-2100年は1.0%の見通しです。
人口構成の見通し
このグラフは、ガボンの人口構成の各年代別割合を示したものです。1950年から2100年にかけての推移が描かれており、0-14歳、15-29歳、30-49歳、50-64歳、65-79歳、80歳以上の6つの年齢層ごとに区分されています。
過去のデータから現在にかけて、0-14歳の割合がピークに達したのは1970年代で、その後徐々に減少していることが分かります。一方で、15-29歳と30-49歳の層は安定的に増加し、労働力の基盤を支えています。このような変化は、ガボンが近年経験した経済成長や都市化が影響している可能性があります。
将来の予測では、高齢者層（65歳以上）の割合が徐々に増加する一方で、若年層（0-14歳）の割合が引き続き減少する見込みです。
出典：UN World Population Prospects 2024
人口ボーナス・人口オーナス
豊かな労働力は経済成長に寄与しますが、その労働力の豊富さを図る指標として人口ボーナスと人口オーナスというものがあります。
野村証券によると人口ボーナス（および人口オーナス）を以下のように定義してます。
生産年齢人口（15～64歳）に対する従属人口（14歳以下の年少人口と65歳以上の老年人口の合計）の比率が低下し、経済成長を促すこと。人口ボーナス期では豊富な労働力を背景に個人消費が活発になる一方、高齢者が少なく社会保障費用が抑えられるため、経済が拡大しやすい。逆に従属人口の比率が相対的に上昇することを人口オーナスという。
このグラフは、ガボンの人口ボーナスと人口オーナスを示したもので、1950年から2100年にかけての推移が描かれています。
人口ボーナスとは、労働可能人口（生産年齢人口）が多く、扶養される人口（子どもや高齢者）が少ない状態を指します。この状態では、経済成長のポテンシャルが高まるとされています。一方、人口オーナスとは扶養人口の割合が高まり、経済的負担が増加する状態を指します。
ガボンのデータを見ると、1950年代から1990年代にかけて人口ボーナスが減少傾向にありましたが、2000年代以降は徐々に回復し、2030年ごろにピークを迎える予測となっています。この期間は、ガボンが人口構成の面で経済的な恩恵を受けやすい時期となる可能性があります。
その後、2060年代以降には人口ボーナスが再び減少し始め、人口オーナスの影響が強まると予測されています。これは、高齢者人口の増加と労働人口の相対的な減少によるもので、社会保障費や医療費の増加といった課題が予想されます。
出典：UN World Population Prospects 2024に基づく推計
男女別の学歴構成
以下は1950-2015年までの男女別の最終学歴の構成です。
ここでは15歳未満は就学前も、在学中も卒業者もすべて合わせています。残りの5つの学歴については15歳以上を対象としています。
出典： Wittgenstein Centre for Demography and Global Human Capitalに基づく推計
ガボンは他のアフリカの国と同様に未就学シェアが1950年以降急激に減少しており、1950-2015年の期間では男性は66%から12%、女性は71%から15％まで減少しています。
一方、高卒および専門・大卒以上は増加しており、男性はそれぞれ0.1%から6.7%、0.0%から7.4%と拡大しています。
同様に女性も学歴化が進み、高卒および専門・大卒以上はそれぞれ0.0%から5.0%、0.0%から4.7%と、男性と比べるといまだにギャップは残るものの教育水準は改善しています。
都市部と農村部人口の構成と人口密度
このグラフは、ガボンにおける都市部人口シェアと人口密度の推移を示しています。1960年から2020年にかけてのデータを元にしており、都市化の進展とその影響を視覚的に捉えています。
都市部人口シェアの増加: ガボンでは、都市部人口シェアが1960年代の約40%から2020年には80%を超えるまでに急激に増加しました。これは、産業の集中や生活環境の改善を求めて農村部から都市部へ人々が移動していることを反映しています。このような急激な都市化は、ガボンが他のアフリカ諸国に比べても早いペースで都市化を遂げていることを示しています。
都市部人口密度の上昇: 青色の点線で示される都市部人口密度は、1960年代には1平方キロメートルあたり約2,870人だったのが、2020年には5,736人にまで増加しています。この増加は、都市部への人口集中による結果であり、ガボンの都市部が急速に拡大していることを示唆しています。
農村部人口密度の安定: 赤い点線で示される農村部人口密度は、ほぼ変化が見られず、1平方キロメートルあたり約1人程度を維持しています。これは、農村地域の人口増加が限定的であるか、または都市部への流入が農村部の人口を抑制していることを示しています。
出典：World Development Indicators, 2024/09に基づく推計
さいごに
ガボンはアフリカ諸国の中でも特に高い都市化率を誇り、人口の多くが都市部に集中しています。この都市化の進展は、経済活動の活発化やインフラ整備の促進に寄与している一方で、都市部での環境負荷の増大や住宅問題といった課題も浮き彫りにしています。また、農村部では人口が停滞または減少する中で地域振興の必要性も増しています。
持続可能な発展を実現するためには、都市部の効率的なインフラ整備に加えて、農村部の経済振興や人口流出への対策も重要です。ガボンの都市化は、他のアフリカ諸国にも参考になる成功事例や課題を提供しており、今後の発展に注目が集まります。
なお、労働については以下の記事で取り扱っていますので、是非ご覧ください。
今回はガボンの労働関連のデータについて簡単に整理します。 ガボンの基本情報 ガボンは中央アフリカの大西洋沿岸にある国です。 ガボンの人口は2016年時点で約180万人とアフリカでは比較的人口の少ないです[…]