今回はリベリアにおける児童労働についてデータを整理します。
ただし、児童労働の問題には就学の問題も関連することが多いため、はじめに就学率についてデータを確認します。
リベリアの基本情報
リベリアはシエラレオネ、ギニア、コートジボワールを隣国にもつ西アフリカの国です。
リベリアの人口は2016年時点で460万人とアフリカでは比較的人口の少ない国です。
一方、人口密度は41人/km2とアフリカ平均40人/km2とほぼ同水準の国です。
一人あたりGDPは2016年時点で800ドルとアフリカ平均の5,000ドルの1/6程度であり、アフリカでは4番目に低い国です。
アフリカ諸国の基本的な経済指標については以前まとめていますので、そちらを参照してください。
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また、アフリカ諸国間のGDP成長率の相関については、以下をご覧ください。
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就学率(教育)
以下はアフリカ諸国および参考国(米国、中国)における就学率を表します。(括弧内の数字はデータの年次を表します。)
なお、ここでの就学率は初等教育対象年齢人口に対する初等教育に入学した人口をします。
参考国である米国と中国の就学率はそれぞれ、95.6%と89.3%に対し、リベリアは44.6%と両国よりも低い水準にあり、アフリカ諸国の中では50番目となっています。
出所:World Development Indicators, July 2023.
次に、就学率の推移をみます。
2000年の就学率は50%ほどであり、その水準は直近においても変わっておらず、子供に教育がまだ行き届いていない状況となっています。
また、男女格差については2000年では10パーセントポイントほどありましたが、直近ではその格差は解消されています。
出所:World Development Indicators, July 2023.
なお、人口に占める学歴構成については、以下の時期で取り上げています。
今回はリベリアの人口構成にフォーカスしてみます。 リベリアの基本情報 リベリアはシエラレオネ、ギニア、コートジボワールを隣国にもつ西アフリカの国です。 リベリアの人口は2016年時点で460万人とアフリ[…]
児童就業率(児童労働)
次に、児童の就業率について確認します。
以下のグラフは7-14歳人口に占める就業率を表しており、左図は全体、中図は男子、右図は女子の就業率のランキングとなっています。
リベリアの全体の児童就業率は18%でデータの確認できる44か国中34番目となっています。
また、男子は22%で44か国中34番目、女子は15%で33番目と男女ともにやや低い水準となっており、児童の5人に1人は労働をおこなっている状況となっています。
出所:World Development Indicators, July 2023.
以下の左図は児童労働における産業別構成比を表しており、右図では就業形態別の構成比を表します。
産業の構成比を見ると、農業が78%とほぼ大部分を占めており、それに次ぐサービス業は19%であり、製造業は僅か数%となっています。
また雇用形態を見ると、雇用者は1%のみであり、大部分は家族従業者が占めています。
出所:World Development Indicators, July 2023.
なお、一国全体の労働構成については以下の記事を参照ください。
今回はリベリアの労働関連のデータについて簡単に整理します。 リベリアの基本情報 リベリアはシエラレオネ、ギニア、コートジボワールを隣国にもつ西アフリカの国です。 リベリアの人口は2016年時点で460万[…]
児童の平均労働時間
次に、児童の平均労働時間ついて確認します。
以下のグラフは労働に従事している(就業している)児童の週平均労働時間のランキングを示しており、左図は非就学児童の平均労働時間、右図は就学も就業もしている児童の平均労働時間を示しています。
左図の非就学の就業児童の労働時間では、リベリアは39時間と(データの確認できる)アフリカの41か国中4番目となっています。
同様に、右図の就学している就業児童の労働時間は22時間であり(データの確認できる)アフリカの41か国中4番目となっています。
出所:World Development Indicators, July 2023.
男女別の労働時間をみると、非就学の就業児童の労働時間では男子が36時間に対し女子は41時間と女子の方が長く、一方、就学している就業児童の労働時間においても男子は22時間、女子は23時間とほぼ同じ長さとなっています。
出所:World Development Indicators, July 2023.
さいごに
今回は就学率や児童の就業率や労働時間について整理しましたが、児童労働の賃金データや産業別の児童労働時間などのデータについては確認することができませでした。