今回はエジプトの労働関連のデータについて簡単に整理します。
エジプトの基本情報
エジプトの人口は2016年時点で
約9,300万人とアフリカでは3番目に人口の多い国です。
人口密度は93人/km2とアフリカ平均の40人/km2の2倍以上です。
一人あたりGDPは2016年時点で12,000ドルとアフリカ平均の5,000ドルの2倍以上です。
アフリカ諸国の基本的な経済指標については以前まとめていますので、そちらを参照してください。
ここではアフリカの経済指標についてざっくり整理します。 アフリカと一言でいっても、アフリカ連合に加盟している国だけでも55か国もあります。なお、外務省のHPを確認すると2021/2/5時点で54か国となっていますが[…]
エジプトの就業率と失業率、ニート率
就業率
以下は1991年から2019年における男女別の就業率の推移を表しています。
出所:ILO Modelled Estimates, 2020年11月推計
エジプトの就業率は全体では40%近辺で安定していますが、男女には大幅な乖離があります。
イスラム教が大半を占めるエジプトでは著しく女性の就業率は低く、およそ20%以下で推移しています。
失業率
次に失業率について確認します。以下は2019年における失業率のランキングを示します。
2019年におけるエジプトの失業率は9.7%とアフリカではやや高い失業率と言えます。
なお、もっとも失業率の高い国は南アフリカの28.5%です。
出所:ILO Modelled Estimates, 2020年11月推計
次に1991年から2019年における男女別の失業率の推移について確認します。
出所:ILO Modelled Estimates, 2020年11月推計
エジプトでは男性の失業率は5-10%で推移していますが、女性は20-25%と男性よりも明らかに高い失業率となっています。
女性の就業率の低さは宗教的な背景のもと女性が仕事をする慣習が乏しいほか、社会としても女性が仕事をする環境が整っていないため失業率が高くなっているものと考えられます。
ニート率
次は就学・就労していない、また職業訓練も受けていない若者、いわゆるニート(NEET:Not in Education, Employment or Training)について確認します。
以下は2005年から2019年におけるニート率を示しています。
出所:ILO Modelled Estimates, 2020年11月推計
日本ではニート率は3-4%程度でしたが、エジプトのニート率は30%ほどと非常に高くなっています。
特に女性は35-50%と非常にニート率が高くなっていますが、2010年以降は減少傾向にあります。
エジプトの労働生産性と就業構成
労働生産性
以下は2019年における労働生産性(GDP/就業者数)のランキングを示します。
エジプトの労働生産性は44,000ドルであり、アフリカでは6番目に高い国です。
なお、日本の労働生産性は77,500ドル、アフリカでもっとも労働生産性の高いガボンの55,700ドルであり、これらの国に比べるとエジプトは6-8割程度の水準にあります。
出所:ILO Modelled Estimates, 2020年11月推計
就業構成
以下は1991年から2019年における労働生産性(GDP/就業者数)と就業者全体に占める女性シェアを示します。
出所:ILO Modelled Estimates, 2020年11月推計
エジプトの労働生産性は過去28年間で労働生産性は25,000ドルから45,000ドルと80%ほど上昇しています。
一方、就業者全体に占める女性シェアはほぼ変わらず20%近辺で推移しています。
職業構成
以下は1991年から2019年における職業構成比の推移を表しています。
出所:ILO Modelled Estimates, 2020年11月推計
エジプトでは7.技能工及び関連職業の従事者、8.設備・機械の運転・組立工のシェアは拡大傾向にある一方で、
6.農林水産従事者, 9.単純作業従事者、2.専門職、4.事務補助員のシェアは減少傾向にあります。
以下は2019年の男女別の職業構成比を示します。
出所:ILO Modelled Estimates, 2020年11月推計
エジプトでは職業により男性と女性のシェアが大きく異なり、男性は1.管理職、7.技能工及び関連職業の従事者、8.設備・機械の運転・組立工が多い一方で、女性は2.専門職、3.技師、准専門職、6.農林水産従事者, 9.単純作業従事者のシェアが多くなっています。
さいごに
エジプトの労働についてまとめると以下のとおりです。
- 就業率は40%程度
- 失業率は9.7%
- 労働生産性は44,000ドル
- 就業者全体に占める女性シェアは20%程度
引き続き他の国についても調べていきます。