今回はチュニジアの労働関連のデータについて簡単に整理します。
チュニジアの基本情報
チュニジアはアルジェリアとリビアの間に位置する北アフリカの国です。
チュニジアの人口は2016年時点で約1,100万人とアフリカでは平均的な規模の国です。一方、人口密度は70人/km2とアフリカ平均の40人/km2の2倍近いです。
一人あたりGDPは2016年時点で11,500ドルとアフリカ平均の5,000ドルの2倍以上とアフリカでは比較的裕福な国です。
アフリカ諸国の基本的な経済指標については以前まとめていますので、そちらを参照してください。
ここではアフリカの経済指標についてざっくり整理します。 アフリカと一言でいっても、アフリカ連合に加盟している国だけでも55か国もあります。なお、外務省のHPを確認すると2021/2/5時点で54か国となっていますが[…]
また、アフリカ諸国間のGDP成長率の相関については、以下をご覧ください。
今回は2000年以降のアフリカ諸国におけるGDP成長率の相関係数を確認してみます。 まずは、アフリカ諸国のGDPの規模について見てみます。 GDPランキング 以下は2016年のアフリカ諸国におけるGDPランキン[…]
就業率と失業率、ニート率
就業率
以下は1991年から2019年における男女別の就業率の推移を表しています。
出所:ILO Modelled Estimates, 2020年11月推計
チュニジアの就業率は全体では40%程度で推移しています。
ただし、国民の多くがイスラム教であるため、女性の就業率は20%ほどと男性に比べ著しく低くなっています。
失業率
次に失業率について確認します。以下は2019年における失業率のランキングを示します。
2019年におけるチュニジアの失業率は15.1%とアフリカでは8番目に高い水準となっています。
なお、もっとも失業率の高い国は南アフリカの28.5%です。
出所:ILO Modelled Estimates, 2020年11月推計
次に1991年から2019年における男女別の失業率の推移について確認します。
出所:ILO Modelled Estimates, 2020年11月推計
直近の失業率は15%ほどです。
ただし、近年では女性の失業率が高く、199o年代初頭に比べ、女性の失業率は5ポイントほど上昇しています。
一方で、男性の失業率は下落しているため、男女平均では失業の水準はあまり変わっていません。
ニート率
次は就学・就労していない、また職業訓練も受けていない若者、いわゆるニート(NEET:Not in Education, Employment or Training)について確認します。
以下は2005年から2019年におけるニート率を示しています。
出所:ILO Modelled Estimates, 2020年11月推計
日本ではニート率は3-4%程度でしたが、チュニジアのニート率は25%ほどと日本に比べると高くなっています。
特に女性は30%以上と高くなっています。
労働生産性と就業構成
労働生産性
以下は2019年における労働生産性(GDP/就業者数)のランキングを示します。
チュニジアの労働生産性は36,000ドルであり、アフリカでは9番目の水準にあります。
なお、日本の労働生産性は77,500ドル、アフリカでもっとも労働生産性の高いガボンの55,700ドルであり、これらの国に比べるとチュニジアは50-70%程度となっています。
出所:ILO Modelled Estimates, 2020年11月推計
就業構成
以下は1991年から2019年における労働生産性(GDP/就業者数)と就業者全体に占める女性シェアを示します。
出所:ILO Modelled Estimates, 2020年11月推計
チュニジアの労働生産性は1991年時点では36,000ドルほどと1991年から1.8倍ほど増加しています。
一方、就業者全体に占める女性シェアは同期間では25%前後であまり変わっていません。
職業構成
以下は1991年から2019年における職業構成比の推移を表しています。
出所:ILO Modelled Estimates, 2020年11月推計
チュニジアでは6.農林水産従事者, 9.単純作業従事者のシェアが3割強ほどを占めていますが、他のアフリカ諸国に比べるとかなり低い水準です。
以下は2019年の男女別の職業構成比を示します。
出所:ILO Modelled Estimates, 2020年11月推計
チュニジアでは職業により男性と女性のシェアの違いは、男性は1.管理職、5.サービス・販売従事者、7.技能工及び関連職業の従事者が多い一方で、女性は2.専門職、3. 技師、准専門職、4.事務補助員、8.設備・機械の運転・組立工が多くなっています。
通常アフリカ諸国では5.サービス・販売従事者については女性のシェアが高くなる傾向にありますが、チュニジアはおそらくイスラム教の影響により、女性は接客業にあまり就かないものと考えられます。
さいごに
チュニジアの労働についてまとめると以下のとおりです。
- 就業率は50%程度、ただし男女で大きく格差あり
- 失業率は15.10%
- 労働生産性36,000ドル
- 就業者全体に占める女性シェアは25%程度
引き続き他の国についても調べていきます。