チュニジアの経済予測:World Economic Outlook Database, October 2023

今回はチュニジアの経済予測について取り上げます。

使用しているデータは国際通貨機関(IMF)が年に2~4回刊行しているWorld Economic Outlook(WEO)を用いています。

WEOでは最新のデータに基づき予測を毎回改訂していますので、過去のデータを顧みることで予測の不確実性を理解したうえで有益なツールとして使用することが望まれます。

 

チュニジアの基本情報

チュニジアはアルジェリアとリビアの間に位置する北アフリカの国です。

 

チュニジアの人口は2016年時点で約1,100万人とアフリカでは平均的な規模の国です。一方、人口密度は70人/km2とアフリカ平均の40人/km2の2倍近いです。

 

一人あたりGDPは2016年時点で11,500ドルとアフリカ平均の5,000ドルの2倍以上とアフリカでは比較的裕福な国です。

アフリカ諸国の基本的な経済指標については以前まとめていますので、そちらを参照してください。

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また、アフリカ諸国間のGDP成長率の相関については、以下をご覧ください。

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国際比較ランキング

GDP成長率

以下のグラフは2023~2028年におけるアフリカ諸国の実質GDP成長率のランキングを示しています。

また、参考国として米国、中国および日本を並記しています。当該期間では、中国は4.1%、米国は1.9%、日本は0.8%と予測されており、日米に関してはアフリカ諸国と比較すると非常に低水準となっています。

 

チュニジアに関しては、同期間では2.2%ほどの経済成長を見込まれており、アフリカ諸国の中では50番目に高い水準となっています。

予測GDP成長

出所:World Economic Outlook Database, October 2023

 

時系列推移

GDP成長率・一人あたりGDP

以下は2000年以降のGDP成長率(左図)および世界に占めるGDPシェア(右図)の実績値と過去の数時点および直近(Latest)のWEOの予測を表しています。

チュニジアのGDP成長率は2011年と新型コロナ禍の2020年にマイナス成長を経験しています。

それ以外の年次についてはおおよそ2-6%ほどで安定して成長しています。

 

しかし、過去のWEOの予測を見ると、実績よりも過大に予測されること多くなっており、そのため直近のWEOにおいても2028年にかけて2%ほどと見込まれていますが、これも楽観的かもしれません。

 

世界に占めるGDPシェアは非常に小さく実績値は2000年の0.12%ほどでしたが、2028年には0.09%ほどまで下落するとみられています。

チュニジアのGDP予測

出所:World Economic Outlook Database, October 2023

 

次に以下のグラフは一人あたりの実質GDPの推移を表しています。

チュニジアの一人あたりGDP予測

出所:World Economic Outlook Database, October 2023

 

単位は国際比較で用いられる2017年PPP換算(米ドル)を用いています。PPPについては以下の記事でまとめていますので、こちらも参照ください。

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一人あたりGDPについては、2000年では8,000ドルほどであり、2022年には11,000ドルほどまで上昇しています。

さらに、最新のWEOでは2028年にかけて一人あたりGDPは12,000ドルほどまで上昇すると見込まれています。

 

インフレ率

以下は2000年以降の年次インフレ率(左図)および2000年を基準としたインフレ指数(右図)の実績値と過去の数時点および最新のWEOの予測を表しています。

 

チュニジアではインフレ率は2000年以降変動しながらも徐々に加速傾向にあり、直近では8%程度まで上昇しています。

一方で、過去のWEOの予測を見るとインフレ率は実績よりも低く見込まれることが多く、そのため直近のWEOのインフレ率の予測についても2028年には6%ほどと見込まれていますが、こちらも楽観的かと思われます。

 

インフレ指数は2000年を100とすると、実績値では2022年は250ほどとなり、さらに2028年の見込みでは400程度まで上昇すると見込まれています。

チュニジアのインフレ率予測

出所:World Economic Outlook Database, October 2023

 

なお、過去の物価変動について知りたい方は、以下の記事もご覧ください。

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失業率

以下は2000年以降の失業率の実績値(Actual)と過去の数時点および直近(Latest)のWEOの予測を表しています。

チュニジアの失業率は2000年では15%ほどであり、その後は多少の変動はあるものの、2022年までほぼ同水準となっています。チュニジアの失業率

出所:World Economic Outlook Database, October 2022

なお、過去の失業率や労働について知りたい方は、以下の記事もご覧ください。

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政府の歳入歳出・負債

以下は2000年以降の政府の歳入(左図)と歳出(右図)の実績値と過去の数時点および最新のWEOの予測を表しています。

2000年ではGDP比で歳入は20%、歳出は24%と赤字財政となっており、2022年になると歳入はGDP比で29%、歳出は35%と赤字幅しています。

なお直近のWEOの予測では2028年ではそれぞれ26%と28%と見込まれており、引き続き赤字収支は継続すると予測されています。

チュニジアの歳出歳入

出所:World Economic Outlook Database, October 2023

 

さらに以下は政府の総負債(左図)と純負債(右図)の推移を表しています。

なお、純負債は総負債から債務証券に対応する金融資産(金・SDR、通貨・預金、負債証券、貸付金、保険・年金・標準保証制度、その他売掛金など)を除いたものをさします。

(なお、チュニジアの純負債のデータについてはほぼ公表されておりません。)

チュニジアの債務

出所:World Economic Outlook Database, October 2023

チュニジアのGDPに対する総負債比は2000年では60ほどでしたが、2007年には40ほどまで改善しています。

しかし、その後は悪化し始め、2022年には80ほどまで悪化しています。

しかし、直近のWEOでは2028年には70ほどまで多少改善すると見込まれています。

 

さいごに

今回使用しているWEOは常時データを改訂しています。

特に近年では新型コロナの状況により予測値が大幅に改訂することありますので、新型コロナについて状況を知りたい場合は以下の記事を参照ください。

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