タンザニアの成長会計:全要素生産性(TFP)、資本ストック、労働投入量

TFP

今回はタンザニアの経済成長を成長会計の観点からフォーカスしたいと思います。

成長会計とは、経済成長の内訳の要因を明らかにしようとするものであり、基本的に労働投入、資本投入、これら2つ以外で成り立つ全要素生産性(TFP: Total Factor Productivity)の3つ分解されます。

また、TFPとは労働生産や資本投入で説明できない要因であることから、技術進歩や生産の効率化などの要因に相当すると解釈されます。

 

そこで、この記事では経済成長を表すGDP成長率、そして労働、資本、全要素生産性について触れています。

 

タンザニアの基本情報

タンザニアはケニア、ウガンダ、ルワンダ、ブルンジ、コンゴ民主共和国、ザンビア、マラウイ、モザンビークを隣国に持つ東アフリカの国です。

 

タンザニアの人口は2016年時点で約5,500万人とアフリカでは5番目に人口の多い国です。また人口密度は58人/km2とアフリカ平均の40人/km2の1.5倍ほどの密度です。

 

一人あたりGDPは2016年時点で2,700ドルとアフリカ平均の5,000ドルの半分程度となっています。

アフリカ諸国の基本的な経済指標については以前まとめていますので、そちらを参照してください。

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また、アフリカ諸国間のGDP成長率の相関については、以下をご覧ください。

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GDP成長率

以下のグラフはアフリカ諸国におけるGDPの平均成長率(左図:1970-2019, 右図:2000-2019)のランキングを示しています。

日本や米国は1970年以降の長期においては、おおよそ3%弱の経済成長を遂げていますが、2000年以降に限定すれば日本の成長率はほぼ0%に近くなっています。

 

一方、タンザニアは長期では27番目に高い3.5%となっていますが、2000年以降では成長率は6.4%へ加速しておりアフリカ全体でも8番目へランクを上げています。

出所:Penn World Table, version 10.0

 

就業率・就業者数

労働投入の主な要因となるのが、就業者数です。

以下のグラフはアフリカ諸国における人口あたりの就業率のランキングです。

日本は就業率が55%とアフリカのいずれに国に比べても高い水準となっています。

一方、タンザニアは42%と日本よりは10ポイント以上低いものの、アフリカでは11番目と比較的高い水準となっています。

出所:Penn World Table, version 10.0

また就業率の推移をみると、1960年以降就業率はほぼ横ばいで推移していますが、人口増加に伴ない就業者数は500万人から2,400万人へ増加しています。

出所:Penn World Table, version 10.0

労働の構成について気になる方は以下の記事もご覧ください。

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資本投入

経済成長に必要な資本投入は、投資から資本ストック化され、それを経由して資本投入につながるため、投資が起点となります。

以下はタンザニアのGDPに占める最終消費項目のシェアの推移を表していますが、投資シェアは1960年では10%ほどでしたが、1970年代では20%ほど、2000年代後半には30%ほどと、長期において上昇傾向にあります。

出所:Penn World Table, version 10.0

 

投資により蓄積される資本ストックの推移を表したものが以下となります。

タンザニアでは、実質・名目資本ストックは1960年ではGDP比で2.0ほどでしたが、投資シェアが拡大していった結果、直近では3.0ほどでま上昇しています。

出所:Penn World Table, version 10.0

 

また以下はアフリカ諸国における名目資本ストック比率のランキングを表します。

日本は5.2とアフリカでも比較的高位にありますが、米国は3.4とアフリカ諸国と比べて平均的な水準と言えます。

一方、タンザニアは3.0とアフリカでは26番目であり、資本ストックは平均的な水準とあると考えられます。

出所:Penn World Table, version 10.0

 

なお、資本ストックは建築物、機械、ITなどの生産資産に限られていますが、より広い概念にあたる国富については以下の記事を参照ください。

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全要素生産性(TFP)

以下のGDP成長率に占める要因の内訳を表します。(左図:毎年、右図:毎10年)

タンザニアでは、1960年代から1970年代にかけて資本投入がGDP成長率の4ポイントほどを占めていましたが、この期間ではTFPがマイナスに寄与していました。

また、労働投入は長期において安定して1.0ポイント以上のGDP成長率寄与度をしめており、経済成長の下支えをしていました。

2000年以降になると、1980年代、1990年代で低迷していた資本投入が再び加速したことで、GDP成長率は6%以上まで上昇しています。

出所:Penn World Table, version 10.0

さいごに

今回は成長会計の観点から経済成長を資本や労働に分解して見てきました。

経済について各産業の構成を知りたい方は、以下の記事もご覧ください。

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