今回はタンザニアの労働関連のデータについて簡単に整理します。
タンザニアの基本情報
タンザニアはケニア、ウガンダ、ルワンダ、ブルンジ、コンゴ民主共和国、ザンビア、マラウイ、モザンビークを隣国に持つ東アフリカの国です。
タンザニアの人口は2016年時点で約5,500万人とアフリカでは5番目に人口の多い国です。また人口密度は58人/km2とアフリカ平均の40人/km2の1.5倍ほどの密度です。
一人あたりGDPは2016年時点で2,700ドルとアフリカ平均の5,000ドルの半分程度となっています。
アフリカ諸国の基本的な経済指標については以前まとめていますので、そちらを参照してください。
ここではアフリカの経済指標についてざっくり整理します。 アフリカと一言でいっても、アフリカ連合に加盟している国だけでも55か国もあります。なお、外務省のHPを確認すると2021/2/5時点で54か国となっていますが[…]
就業率と失業率、ニート率
就業率
以下は1991年から2019年における男女別の就業率の推移を表しています。
出所:ILO Modelled Estimates, 2020年11月推計
タンザニアの就業率は高く80%代で推移しています。また男女の就業率には10ポイント乖離があります。
失業率
次に失業率について確認します。以下は2019年における失業率のランキングを示します。
2019年におけるタンザニアの失業率は2.0%とかなり低く、日本よりも0.4ポイント低い水準です。
なお、もっとも失業率の高い国は南アフリカの28.5%です。
出所:ILO Modelled Estimates, 2020年11月推計
次に1991年から2019年における男女別の失業率の推移について確認します。
出所:ILO Modelled Estimates, 2020年11月推計
男性の失業率は1.5-3%で推移しており、女性の2.5-4.5%に比べほとんどの年次で女性よりも男性の失業率の方が低位となっています。
ニート率
次は就学・就労していない、また職業訓練も受けていない若者、いわゆるニート(NEET:Not in Education, Employment or Training)について確認します。
以下は2005年から2019年におけるニート率を示しています。
出所:ILO Modelled Estimates, 2020年11月推計
日本ではニート率は3-4%程度でしたが、タンザニアのニート率は10-15%ほどと高くなっています。
特に女性は男性に比べ5ポイント以上高位にあります。
労働生産性と就業構成
労働生産性
以下は2019年における労働生産性(GDP/就業者数)のランキングを示します。
タンザニアの労働生産性は5,600ドルであり、アフリカでは低位に位置します。
なお、日本の労働生産性は77,500ドル、アフリカでもっとも労働生産性の高いガボンの55,700ドルであり、これらの国に比べるとタンザニアは1/10以下の水準にあります。
出所:ILO Modelled Estimates, 2020年11月推計
就業構成
以下は1991年から2019年における労働生産性(GDP/就業者数)と就業者全体に占める女性シェアを示します。
出所:ILO Modelled Estimates, 2020年11月推計
タンザニアの労働生産性は過去28年間で労働生産性は3,000ドルから5,600ドルと93%ほど上昇しています。
一方、就業者全体に占める女性シェアはほぼ変わらず50%近辺で推移しています。
職業構成
以下は1991年から2019年における職業構成比の推移を表しています。
出所:ILO Modelled Estimates, 2020年11月推計
タンザニアでは7.技能工及び関連職業の従事者、5.サービス・販売従事者のシェアは拡大傾向にある一方で、
6.農林水産従事者, 9.単純作業従事者のシェアは減少傾向にあります。
以下は2019年の男女別の職業構成比を示します。
出所:ILO Modelled Estimates, 2020年11月推計
タンザニアでは職業により男性と女性のシェアの違いは、男性は7.技能工及び関連職業の従事者、8.設備・機械の運転・組立工が多い一方で、女性は6.農林水産従事者, 9.単純作業従事者がほとんどとなっています。
さいごに
タンザニアの労働についてまとめると以下のとおりです。
- 就業率は80%程度
- 失業率は2.0%
- 労働生産性は5,600ドル
- 就業者全体に占める女性シェアは50%程度
引き続き他の国についても調べていきます。