コンゴ共和国の人口構成と将来の見通し。年齢構成や学歴構成の変化を確認する

今回はコンゴ共和国の人口構成にフォーカスしてみます。

なお、他の国との人口規模については、こちらで比較しております。

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コンゴ共和国の基本情報

コンゴ共和国は中央アフリカの国で、コンゴ民主共和国、ガボン、赤道ギニア、カメルーン、中央アフリカ共和国の5か国と接しています。

 

コンゴ共和国の人口は2016年時点で約500万人で、アフリカでは比較的小さな国です。

一方、一人あたりGDPは2016年時点でアフリカ平均5,000ドルよりも高い6,300ドルです。

 

人口の見通し

こちらのグラフは、コンゴの人口構成の推移を表しています。1950年から2100年にかけて、コンゴの人口は急激に増加していくことが予測されています。特に、0〜14歳の若年層(青色)と15〜29歳の青年層(オレンジ色)が、2030年頃まで増加を続け、その後も高い割合を維持しています。30〜49歳(灰色)、50〜64歳(黄色)といった働き盛りの年齢層も増加しており、今後の経済発展に寄与する可能性が高いことが示されています。

一方で、65歳以上(青緑色)や80歳以上(緑色)の高齢者層も、2060年以降に増加の兆しが見られ、長寿化に伴う高齢化が進むと考えられます。このことは、医療や福祉に対する需要が今後増加する可能性を示唆しており、持続可能な社会保障制度の構築が課題となるでしょう。

また、2100年には総人口が約2000万人に達すると予測されており、労働力人口の増加による経済成長のポテンシャルが高まる一方で、インフラ整備や教育などの社会基盤の充実も重要な課題となります。

コンゴの人口

出典:UN World Population Prospects 2024

 

なお人口の平均成長率は1950-2020年では2.8%ほどであり、この先については2020-2050年が2.2%、2050-2100年は1.2%の見通しです。

 

人口構成の見通し

このグラフは、コンゴ共和国の人口構成の変遷を示しています。年齢層別に人口の割合がどのように変化していくかが描かれています。1950年から2030年にかけては、0〜14歳の年少人口(青色)の割合が非常に高く、40%以上を占めていましたが、2060年以降は減少し、2100年には約20%にまで低下すると予想されています。これは出生率の低下を示唆しており、人口構成に大きな変化が訪れることを表しています。

一方、15〜29歳(オレンジ色)や30〜49歳(灰色)の若年および壮年層も徐々に減少していく一方で、50〜64歳(黄色)や65歳以上の年齢層(青緑色・緑色)は増加傾向にあります。特に、65歳以上の割合は2100年までに増加し、高齢化が進行する見込みです。

このような人口構成の変化は、コンゴ共和国の社会経済に大きな影響を与えるでしょう。若年層の割合が減少する一方で、高齢層が増加することで、将来的には医療や年金制度の整備が重要な課題となります。また、労働力人口の変動もあり、経済成長のためには若年層の教育やスキル向上、労働参加率の向上が求められるでしょう。

コンゴの人口構成

出典:UN World Population Prospects 2024

 

人口ボーナス・人口オーナス

豊かな労働力は経済成長に寄与しますが、その労働力の豊富さを図る指標として人口ボーナスと人口オーナスというものがあります。

野村証券によると人口ボーナス(および人口オーナス)を以下のように定義してます。

生産年齢人口(15~64歳)に対する従属人口(14歳以下の年少人口と65歳以上の老年人口の合計)の比率が低下し、経済成長を促すこと。人口ボーナス期では豊富な労働力を背景に個人消費が活発になる一方、高齢者が少なく社会保障費用が抑えられるため、経済が拡大しやすい。逆に従属人口の比率が相対的に上昇することを人口オーナスという。

 

このグラフはコンゴ共和国の人口ボーナス/オーナスを示しており、人口構成の変化による経済的な恩恵と負担の比率を表しています。人口ボーナスは、生産年齢人口(働き盛りの世代)の割合が高く、経済成長にプラスの影響を与える状態を指します。一方で、オーナスは高齢者や幼少人口が増加し、社会的・経済的負担が増加することを示します。

このグラフを見ると、1950年から2000年にかけては人口ボーナスの水準が低めで推移しているのがわかります。しかし、2000年以降は人口ボーナスが徐々に増加し、2060年頃には1.8に達する見込みです。これは、コンゴ共和国が長期的に経済成長の恩恵を受けやすい人口構成に移行していくことを示唆しています。

その後は安定した高水準を保ちつつも、2100年に向けてやや減少傾向にあります。この変動は、今後の高齢化や出生率の変動により、将来的な経済の負担も増えていく可能性を示しています。コンゴ共和国において、この人口ボーナス期をいかに活かして経済発展を推進するかが、今後の成長の鍵となるでしょう。

コンゴの人口ボーナス

出典:UN World Population Prospects 2024に基づく推計

 

男女別の学歴構成

以下は1950-2015年までの男女別の最終学歴の構成です。

ここでは15歳未満は就学前も、在学中も卒業者もすべて合わせています。残りの5つの学歴については15歳以上を対象としています。

 

出典: Wittgenstein Centre for Demography and Global Human Capitalに基づく推計

 

コンゴ共和国も他のアフリカの国と同様に未就学シェアが1950年以降急激に減少しており、1950-2015年の期間では男性は52%から9%、女性は59%から15%まで減少しています。

一方、高卒および専門・大卒以上は増加しており、男性はそれぞれ0.2%から7.3%、0.1%から5.1%と拡大しています。

同様に女性も学歴化が進み、高卒および専門・大卒以上はそれぞれ0.0%から4.6%、0.0%から2.0%と男性に比べ増加は緩やかですが、拡大傾向にあります。

 

都市部と農村部人口の構成と人口密度

このグラフはコンゴ共和国の都市部人口シェアと人口密度を示しています。都市部人口シェア(青の折れ線)は、総人口に対する都市部の人口割合を示しており、1960年から2020年までの期間で一貫して上昇傾向にあります。1960年時点では約30%だった都市部人口シェアが、2020年には約70%に達しています。これは、コンゴ共和国における都市化が急速に進行していることを示唆しています。

一方、都市部と農村部の人口密度(右軸、青と赤のドット)は、それぞれの地域の居住密度を示しています。都市部人口密度は急激に増加しており、2020年には7,898人/km²に達しています。これに対して、農村部人口密度は非常に低く、数値がほとんど変わらず推移しており、2020年でも5人/km²にとどまっています。この差異は、都市部への人口集中が進んでいることを如実に表しており、今後のインフラ整備や住宅供給の課題として考えられるでしょう。

都市化の進展は、経済成長の原動力となり得ますが、一方で過密化による社会問題や環境問題のリスクもはらんでいます。

コンゴの都市人口と人口密度

出典:World Development Indicators, 2024/09に基づく推計

 

さいごに

コンゴ共和国の人口構成と都市化の進展を見てきたように、今後も人口は増加し続け、特に若年層の割合が高いことから、労働力の供給が豊富である点は大きな強みとなります。しかし、都市部への人口集中が加速していることから、インフラ整備や住宅供給、公共サービスの拡充が急務となるでしょう。また、若年層の雇用機会の創出や、教育・職業訓練への投資も、持続可能な成長に向けた重要な課題となります。コンゴ共和国が今後の成長ポテンシャルを最大限に活かすためには、適切な政策と持続可能な都市計画が必要です。

 

なお、労働については以下の記事で取り扱っていますので、是非ご覧ください。

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