今回はモーリタニアの人口構成にフォーカスしてみます。
モーリタニアの基本情報
モーリタニアは西サハラ、アルジェリア、マリ、セネガルを隣国にもつ大西洋に接する西アフリカの国です。
モーリタニアの人口は2016年時点で420万人とアフリカでは比較的人口の少ない国です。
一方、人口密度は4人/km2とアフリカ平均40人/km2と1/10の水準であり、アフリカでは4番目に人口密度の低い国です。
一人あたりGDPは2016年時点で4,000ドルとアフリカ平均の5,000ドルの8割程度の国です。
アフリカ諸国の基本的な経済指標については以前まとめていますので、そちらを参照してください。
ここではアフリカの経済指標についてざっくり整理します。 アフリカと一言でいっても、アフリカ連合に加盟している国だけでも55か国もあります。なお、外務省のHPを確認すると2021/2/5時点で54か国となっていますが[…]
人口の見通し
早速ですが、以下は1950年から2020年までの年齢階層別の人口の推移と、2100年までの見通しです。
出典:UN World Population Prospects 2019
モーリタニアの人口は2020年では460万人ですが、70年前の1950年ではわずか70万人でした。この期間の人口の平均成長率は2.8%です。
また、将来の見通しでは2030年には600万人、2050年には900万人、2100年では1,710万人の見込みです。
人口の平均成長率は2020-2050年が2.2%、2050-2100年は1.3%の見通しです。
人口構成の見通し
こちらは先ほどのグラフの年齢階層シェアの推移です。
1950年では44%あった14歳以下の人口は1970年には46%まで上昇したのち減少へ転じ、2020年では40%となっています。
今後は2050年に32%、2100年に24%まで減少する見込みです。
また、80歳以上人口は2020年では0.4%ほどです。今後の見込みでは2050年には0.7%、2100年には2.4%まで拡大する見込みです。
出典:UN World Population Prospects 2019
人口ボーナス・人口オーナス
豊かな労働力は経済成長に寄与しますが、その労働力の豊富さを図る指標として人口ボーナスと人口オーナスというものがあります。
野村証券によると人口ボーナス(および人口オーナス)を以下のように定義してます。
生産年齢人口(15~64歳)に対する従属人口(14歳以下の年少人口と65歳以上の老年人口の合計)の比率が低下し、経済成長を促すこと。人口ボーナス期では豊富な労働力を背景に個人消費が活発になる一方、高齢者が少なく社会保障費用が抑えられるため、経済が拡大しやすい。逆に従属人口の比率が相対的に上昇することを人口オーナスという。
以下は、1950-2100年の人口ボーナス・人口オーナスを示します。
モーリタニアでは1950-1970年までは人口オーナス期でしたが、その後は人口ボーナス期へ転じ、2100年まで継続する見込みです。
出典:UN World Population Prospects 2019に基づく推計
男女別の学歴構成
以下は2015年の男女別の最終学歴の構成です。
ここでは15歳未満は就学前も、在学中も卒業者もすべて合わせています。残りの5つの学歴については15歳以上を対象としています。
出典: Wittgenstein Centre for Demography and Global Human Capitalに基づく推計
モーリタニアでは未就学シェアが男性は63%から32%、女性は38%と未就学を除くと最大となっています。
なお、高卒および専門・大卒以上は男性はそれぞれ5.2%と2.6%、
女性はそれぞれ3.4%、1.3%となっています。
都市部と農村部人口の構成と人口密度
以下は1960年以降の全人口のうち都市部に住む人口シェアと、都市部、農村部および平均の人口密度の推移です。
なお、都市部と農村部の人口密度はデータの制約により1990年以降の10年おきに推計値になります。
出典:World Development Indicatorsに基づく推計
モーリタニアの都市部人口シェアは急激に増加しています。
1960年では都市部人口のシェアはわずか7%でしたが、現在では55%まで増加してます。
都市部人口の増加に伴い、人口密度も急増しています。都市部の人口密度は1990年の1,037人/平方kmでしたが、2010年では2,110人/平方kmと2倍以上となっており、都市部の土地開発が追い付いていない状況です。
さいごに
モーリタニアの人口構成と見通しの特徴は以下のとおりです。
- 人口は1950年、2020年、2100年ではそれぞれ70万人、460万人、1,710万人
- 14歳以下の人口構成は2020年の40%から、2050年は32%、2100年は24%と減少
- 80歳以上人口は2020年の0.4%から、2050年は0.7%、2100年は2.4%と増加
- 1950-1970年は人口オーナス期、その後は人口ボーナス期
- 都市部人口シェアは1960年から2019年では7%から55%まで増加
引き続き他の国についても調べていきます。