今回はチュニジアの人口構成にフォーカスしてみます。
なお、他の国との人口規模については、こちらで比較しております。
ここではアフリカの経済指標についてざっくり整理します。 アフリカと一言でいっても、アフリカ連合に加盟している国だけでも55か国もあります。なお、外務省のHPを確認すると2021/2/5時点で54か国となっていますが[…]
チュニジアの基本情報
チュニジアはアルジェリアとリビアの間に位置する北アフリカの国です。
チュニジアの人口は2016年時点で約1,100万人とアフリカでは平均的な規模の国です。一方、人口密度は70人/km2とアフリカ平均の40人/km2の2倍近いです。
一人あたりGDPは2016年時点で11,500ドルとアフリカ平均の5,000ドルの2倍以上とアフリカでは比較的裕福な国です。
アフリカ諸国の基本的な経済指標については以前まとめていますので、そちらを参照してください。
ここではアフリカの経済指標についてざっくり整理します。 アフリカと一言でいっても、アフリカ連合に加盟している国だけでも55か国もあります。なお、外務省のHPを確認すると2021/2/5時点で54か国となっていますが[…]
人口の見通し
チュニジアの人口構成グラフは、同国の人口推移と年齢層ごとの変化を示しています。1950年から人口は徐々に増加し、2040年には約1300万人に達する予測です。しかし、これ以降は人口が減少に転じ、2100年には約1100万人に落ち着くと見られています。若年層(0-14歳)は減少傾向にあり、高齢者(65歳以上)は増加が続くため、将来的には高齢化が進むことがわかります。この変化は経済、医療、社会保障に影響を及ぼすと予想されます。
出典:UN World Population Prospects 2024
なお人口の平均成長率は1950-2020年では1.7%ほどであり、この先については2020-2050年が0.3%、2050-2100年は-0.4%の見通しです。
人口構成の見通し
このグラフは、チュニジアの人口構成を年齢層別に1950年から2100年まで予測したものです。青い部分は0〜14歳、オレンジ色は15〜29歳、灰色は30〜49歳、黄色は50〜64歳、青緑色は65〜79歳、緑色は80歳以上の人口を示しています。人口増加は2040年頃にピークに達し、その後は高齢者層(特に65歳以上)の割合が増加し、若年層の割合が減少していく傾向にあります。この変化は、出生率の低下と寿命の延びに起因しており、チュニジア社会の高齢化が進むことが示されています。
出典:UN World Population Prospects 2024
人口ボーナス・人口オーナス
豊かな労働力は経済成長に寄与しますが、その労働力の豊富さを図る指標として人口ボーナスと人口オーナスというものがあります。
野村証券によると人口ボーナス(および人口オーナス)を以下のように定義してます。
生産年齢人口(15~64歳)に対する従属人口(14歳以下の年少人口と65歳以上の老年人口の合計)の比率が低下し、経済成長を促すこと。人口ボーナス期では豊富な労働力を背景に個人消費が活発になる一方、高齢者が少なく社会保障費用が抑えられるため、経済が拡大しやすい。逆に従属人口の比率が相対的に上昇することを人口オーナスという。
このグラフは、チュニジアにおける経済的に有利な人口構成の推移を示しています。この「人口ボーナス」は、労働人口(生産年齢人口)が扶養人口(子供や高齢者)を上回ることで、経済成長を促進しやすい状況を意味します。グラフからは2000年代から増加傾向が見られ、特に2020年以降のピークが目立ちます。しかし、2060年以降には減少傾向が予測されており、将来的には高齢化が進むことが示唆されています。
出典:UN World Population Prospects 2024に基づく推計
男女別の学歴構成
以下は1950-2015年までの男女別の最終学歴の構成です。
ここでは15歳未満は就学前も、在学中も卒業者もすべて合わせています。残りの5つの学歴については15歳以上を対象としています。
出典: Wittgenstein Centre for Demography and Global Human Capitalに基づく推計
チュニジアも他のアフリカの国と同様に未就学シェアが1950年以降急激に減少しており、1950-2015年の期間では男性は55%から9%、女性は59%から22%まで減少しています。
一方、高卒および専門・大卒以上は増加しており、男性はそれぞれ0.9%から12.7%、0.1%から9.4%と拡大しています。
同様に女性も学歴化が進み、高卒および専門・大卒以上はそれぞれ0.3%から10.2%、0.0%から9.3%と男性に比べ増加は緩やかですが、拡大傾向にあります。
都市部と農村部人口の構成と人口密度
こちらのグラフは、チュニジアの都市部人口シェアと人口密度の推移を示しています。青い線は都市部人口シェアを表しており、1960年代から一貫して増加し、近年では約70%に達しています。一方、人口密度(オレンジ色の線)は一貫して緩やかな増加傾向を示していますが、農村部人口密度(赤い点)はほぼ横ばいです。都市部人口密度(青い点)は、増加傾向にあり、2020年には約2,733人/km²に達しました。
出典:World Development Indicators, 2024/09に基づく推計
さいごに
チュニジアの人口は今後安定に向かう予測がされており、都市部の人口比率が高まる一方で、総人口の成長は鈍化する見込みです。この動向は経済や社会構造に大きな影響を与える可能性があります。政策としては、都市化の進展に対応し、持続可能な都市計画と高齢化社会への備えが重要になるでしょう。
なお、労働については以下の記事で取り扱っていますので、是非ご覧ください。
今回はチュニジアの労働関連のデータについて簡単に整理します。 チュニジアの基本情報 チュニジアはアルジェリアとリビアの間に位置する北アフリカの国です。 チュニジアの人口は2016年時[…]