今回はカメルーンにおける児童労働についてデータを整理します。
ただし、児童労働の問題には就学の問題も関連することが多いため、はじめに就学率についてデータを確認します。
カメルーンの基本情報
カメルーンはナイジェリア、チャド、中央アフリカ共和国、コンゴ、赤道ギニア、ガボンに接する中央アフリカの国です。
カメルーンの人口は2016年時点で約2,400万人で、アフリカではやや人口の多い国です。
一方、一人あたりGDPは2016年時点で3,200ドルとアフリカ平均の5,000ドルの6割程度とアフリカではやや低位の国です。
アフリカ諸国の基本的な経済指標については以前まとめていますので、そちらを参照してください。
ここではアフリカの経済指標についてざっくり整理します。 アフリカと一言でいっても、アフリカ連合に加盟している国だけでも55か国もあります。なお、外務省のHPを確認すると2021/2/5時点で54か国となっていますが[…]
また、アフリカ諸国間のGDP成長率の相関については、以下をご覧ください。
今回は2000年以降のアフリカ諸国におけるGDP成長率の相関係数を確認してみます。 まずは、アフリカ諸国のGDPの規模について見てみます。 GDPランキング 以下は2016年のアフリカ諸国におけるGDPランキン[…]
就学率(教育)
以下はアフリカ諸国および参考国(米国、中国)における就学率を表します。(括弧内の数字はデータの年次を表します。)
なお、ここでの就学率は初等教育対象年齢人口に対する初等教育に入学した人口をします。
参考国である米国と中国の就学率はそれぞれ、95.6%と89.3%に対し、カメルーンは92.9%と両国の間の水準にあり、アフリカ諸国の中では21番目とやや高い水準となっています。
出所:World Development Indicators, July 2023.
次に、就学率の推移をみます。
1970年代の就学率は60%ほどでしたが、1990年代には70%ほどとなり、直近では90%以上と多くの児童に教育が行き届いている状況に達しています。
なお、男女別にみると当初は20パーセントポイントほどの乖離がありましたが、近年では10パーセントポイントほどまで縮小していいます。
出所:World Development Indicators, July 2023.
なお、人口に占める学歴構成については、以下の時期で取り上げています。
今回はカメルーンの人口構成にフォーカスしてみます。 カメルーンの基本情報 カメルーンはナイジェリア、チャド、中央アフリカ共和国、コンゴ、赤道ギニア、ガボンに接する中央アフリカの国です。 一方、一人あたり[…]
児童就業率(児童労働)
次に、児童の就業率について確認します。
以下のグラフは7-14歳人口に占める就業率を表しており、左図は全体、中図は男子、右図は女子の就業率のランキングとなっています。
カメルーンの全体の児童就業率は62%でデータの確認できる44か国中2番目となっています。
また、男子は64%で44か国中2番目、女子は60%で2番目と男女ともに高い水準となっており、児童の3人に2人は労働をおこなっている状況となっています。
出所:World Development Indicators, July 2023.
以下の左図は児童労働における産業別構成比を表しており、右図では就業形態別の構成比を表します。
産業構成をみると、9割は農業であり、残りはサービス業が8%、製造業が3%となっています。
また雇用形態を見ると、雇用者は2%のみであり、大部分は家族従業者が占めています。
出所:World Development Indicators, July 2023.
なお、一国全体の労働構成については以下の記事を参照ください。
今回はカメルーンの労働関連のデータについて簡単に整理します。 カメルーンの基本情報 カメルーンはナイジェリア、チャド、中央アフリカ共和国、コンゴ、赤道ギニア、ガボンに接する中央アフリカの国です。 &nb[…]
児童の平均労働時間
次に、児童の平均労働時間ついて確認します。
以下のグラフは労働に従事している(就業している)児童の週平均労働時間のランキングを示しており、左図は非就学児童の平均労働時間、右図は就学も就業もしている児童の平均労働時間を示しています。
左図の非就学の就業児童の労働時間では、カメルーンは21時間と(データの確認できる)アフリカの41か国中17番目となっています。
同様に、右図の就学している就業児童の労働時間は11時間であり(データの確認できる)アフリカの41か国中20番目となっています。
出所:World Development Indicators, July 2023.
男女別の労働時間をみると、非就学の就業児童の労働時間では男子が24.4時間に対し女子は18.5時間と男子の方が長い一方で、就学している就業児童の労働時間では男子は12.5時間、女子は10.1時間と男女差は縮まっています。
出所:World Development Indicators, July 2023.
さいごに
今回は就学率や児童の就業率や労働時間について整理しましたが、児童労働の賃金データや産業別の児童労働時間などのデータについては確認することができませでした。