今回はカメルーンの産業構造を確認します。
カメルーンの基本情報
カメルーンはナイジェリア、チャド、中央アフリカ共和国、コンゴ、赤道ギニア、ガボンに接する中央アフリカの国です。
一方、一人あたりGDPは2016年時点で3,200ドルとアフリカ平均の5,000ドルの6割程度とアフリカではやや低位の国です。
アフリカ諸国の基本的な経済指標については以前まとめていますので、そちらを参照してください。
ここではアフリカの経済指標についてざっくり整理します。 アフリカと一言でいっても、アフリカ連合に加盟している国だけでも55か国もあります。なお、外務省のHPを確認すると2021/2/5時点で54か国となっていますが[…]
産業別GDP構成比
早速ですが、以下はカメルーンにおける1970年から2019年までの産業別GDP構成比の推移を表します。
出所:UN “The National Accounts Main Aggregates Database”
カメルーンでは、過去50年間で産業構造に大きな変化はなく、各産業のGDPシェアは多少の変動はあるもののおおよそ安定的と言えます。
強いて言えば、1980年以降5.商業・レストラン・ホテルのシェアが拡大傾向にあり、その分7.サービスのシェアが減少しています。
また、1.農業のシェアはアフリカ諸国の中ではあまり大きくなく、おおよそ15%あたりで推移しています。
産業別GDP寄与度
以下はGDPにおける産業別寄与度を表します。
(なお、データの変動が激しいため1年毎では変動が激しいため、5年平均を採用してます。また、ここでの産業GDPと一般的に用いるマクロのGDPとでは統計上の誤差により乖離が生じています。)
出所:UN “The National Accounts Main Aggregates Database”に基づく推計値
カメルーンは近代では1961-1972年までをカメルーン連邦共和国、1972-1984年までをカメルーン連合共和国、1984年以降をカメルーン共和国と3つの時代に分かれます。
1970-1972年のカメルーン連邦共和国でのGDP成長率は平均で2.9%でしたが、1972-1984年のカメルーン連合共和国では7.2%と高い経済成長を達成しています。しかし、カメルーン共和国に入った当初の経済状況は悪く、1980年代後半、1990年代前半のGDP成長率はそれぞれ-5.6%、-1.3%とマイナスへ転じてます。
ただし、1990年代後半以降の経済成長は平均4-5%程度で安定してます。
産業別就業者数シェア
以下は1991年から2019年の産業別就業者数のシェアを表します。
なお、農業については他の産業に比べシェアが大きいため、右軸を採用しています。
出典:ILO Modelled Estimatesに基づく推計
産業別GDPシェアでは15%程度しかない1.農業の就業者数シェアは1991年では68%、2019年では44%と一国全体の大半を占めています。
1.農業に次ぐ5.商業・レストラン・ホテルと7.サービスは、1991年から2019年ではそれぞれ、12%から21%、5%から15%まで増加してます。
産業別労働生産性(産業別就業者あたりGDP)
以下は2019年における産業別の労働生産性(産業別の就業者一人あたりGDP)を米ドル換算で表しています。
出典:ILO Modelled EstimatesおよびUN “The National Accounts Main Aggregates Database”に基づく推計
2019年におけるある全体の労働生産性は3,300ドルほどですが、産業によりそれは大きく異なります。
もっとも労働生産性が高い産業は2.鉱業・電ガス水で20,000ドルほどです。
一方、もっとも労働生産性の低い産業は1.農業でわずか1,200ドルほどです。
さいごに
カメルーンの産業構造についてまとめると以下のとおりです。
- 産業別GDPシェアは、1980年以降5.商業・レストラン・ホテルのシェアは拡大、7.サービスのシェアは減少
- GDP成長率は1980年代後半、1990年代前半ではそれぞれ-5.6%、-1.3%とマイナス成長だが、1990年代後半以降は平均4-5%程度と安定
- 就業者シェアは2019年では1.農業は44%、5.商業・レストラン・ホテルは21%、7.サービスは15%、
- 労働生産性が高い産業は2.鉱業・電ガス水(20,000ドル)。一方もっとも低いのは1.農業(1,200ドル)
引き続き他の国についても調べていきます。