モロッコの人口構成と将来の見通し。年齢構成や学歴構成の変化を確認する

今回はモロッコの人口構成にフォーカスしてみます。

 

モロッコの基本情報

モロッコは地中海に接する北アフリカの国です。

 

モロッコの人口は2016年時点で約3,500万人とアフリカでは11番目に人口が多い国です。

人口密度は78人/km2とアフリカ平均の40人/km2の2倍程度です。

 

一人あたりGDPは2016年時点で8,100ドルとアフリカ平均の5,000ドルの1.6倍程度です。

アフリカ諸国の基本的な経済指標については以前まとめていますので、そちらを参照してください。

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人口の見通し

このグラフはモロッコの人口構成の変化と将来の予測について表しています。

1950年から2020年にかけて、モロッコの総人口は着実に増加しています。特に、0〜14歳(青色)と15〜29歳(オレンジ色)の若年層の割合が多く、1950年から2000年頃までは年少人口が全体の約40%を占めていました。この時期は、労働力が豊富で、社会の活力が高い時代だったといえます。しかし、少子化の影響で若年層の割合は徐々に減少し、30〜49歳(灰色)および50〜64歳(黄色)の中高年層の割合が増加しています。

2030年以降は、高齢層(65歳以上)が急速に増え、2100年には65歳以上が総人口の半数近くに達する見込みです。80歳以上(緑色)も増加し、2100年には全体の10%以上を占めると予測されています。

モロッコの人口

出典:UN World Population Prospects 2024

 

なお人口の平均成長率は1950-2020年では2.0%ほどであり、この先については2020-2050年が0.6%、2050-2100年は-0.3%の見通しです。

 

人口構成の見通し

このグラフは、モロッコの年齢別人口構成の変化を示したものです。1950年から2100年までの年齢層ごとの割合が示され、モロッコの人口動態がどのように推移していくかがわかります。

まず、0〜14歳(青色)の年少人口は、1950年から1980年にかけて増加し、全体の40%以上を占めていました。しかし、それ以降は少子化の影響で減少傾向にあり、2100年には約10%以下にまで低下する見込みです。15〜29歳(オレンジ色)の若年層も、1980年をピークに徐々に減少し、将来的には10%前後に落ち着くと予測されています。

一方、30〜49歳(灰色)と50〜64歳(黄色)の中高年層は、今後数十年にわたり安定した割合を保ちますが、65歳以上(青緑色)および80歳以上(緑色)の高齢層は急激に増加しています。特に、80歳以上の割合が2100年までに約10%に達する見通しで、高齢化が進むことが予測されます。

モロッコの人口構成

出典:UN World Population Prospects 2024

 

人口ボーナス・人口オーナス

豊かな労働力は経済成長に寄与しますが、その労働力の豊富さを図る指標として人口ボーナスと人口オーナスというものがあります。

野村証券によると人口ボーナス(および人口オーナス)を以下のように定義してます。

生産年齢人口(15~64歳)に対する従属人口(14歳以下の年少人口と65歳以上の老年人口の合計)の比率が低下し、経済成長を促すこと。人口ボーナス期では豊富な労働力を背景に個人消費が活発になる一方、高齢者が少なく社会保障費用が抑えられるため、経済が拡大しやすい。逆に従属人口の比率が相対的に上昇することを人口オーナスという。

 

このグラフは、モロッコの人口ボーナスの推移を示しています。人口ボーナスとは、働き盛りの生産年齢人口が増加し、経済成長に有利な人口構成になる状態を指します。1950年から始まり、2000年代に入ってから急激に上昇し、2020年から2030年にかけてピークを迎えています。このピークの時期には、モロッコの経済成長が期待される一方で、人口ボーナスの恩恵を最大限に活かすために、教育や雇用機会の整備が重要となります。

その後、2030年以降は人口ボーナスが減少傾向に入り、2060年には再びボーナス値が低下する見通しです。これは、少子高齢化が進むことで生産年齢人口が減少し、経済成長に対する人口構成のメリットが薄れていくことを意味します。したがって、将来的には高齢化社会に対応した政策が求められるでしょう。

モロッコの人口ボーナス

出典:UN World Population Prospects 2024に基づく推計

 

男女別の学歴構成

以下は1950-2015年までの男女別の最終学歴の構成です。

ここでは15歳未満は就学前も、在学中も卒業者もすべて合わせています。残りの5つの学歴については15歳以上を対象としています。

 

出典: Wittgenstein Centre for Demography and Global Human Capitalに基づく推計

 

モロッコは他のアフリカの国と同様に未就学シェアが1950年以降急激に減少しており、1950-2015年の期間では男性は58%から28%、女性は60%から41%まで減少しています。

一方、高卒および専門・大卒以上は増加しており、男性はそれぞれ0.1%から9.7%、0.0%から6.3%と拡大しています。

同様に女性も学歴化が進み、高卒および専門・大卒以上はそれぞれ0.0%から8.2%、0.0%から5.1%と、男性と比べるといまだにギャップは残るものの教育水準は改善しています。

 

都市部と農村部人口の構成と人口密度

このグラフは、モロッコの都市部人口シェアと人口密度の推移を示しています。1960年から2020年にかけて、都市部人口シェアは約30%から60%近くまで増加しています。これは都市化が進んでいることを示しており、都市部に移住する人が増えていることが分かります。都市部人口密度も年々上昇しており、2020年には約4,563人/km²に達しています。一方で、農村部の人口密度はほとんど変わらず、33人/km²にとどまっています。

都市部への人口集中は、インフラ整備や住宅供給の課題を引き起こす可能性があります。今後も都市部人口が増加し続けることが予測されるため、都市計画や環境保護、持続可能な開発が重要な課題となるでしょう。

モロッコの都市人口と人口密度

出典:World Development Indicators, 2024/09に基づく推計

さいごに

モロッコの人口構成は、今後の社会経済に大きな影響を与える重要な要素です。都市化が進む中で、都市部のインフラ整備や雇用機会の創出が求められ、さらに高齢化社会への対応も不可欠です。若年層の割合が減少する一方で、高齢者層が増加していく中、持続可能な社会保障制度の確立や、労働力人口の維持が課題となっています。今後の発展を支えるためには、教育や職業訓練を通じて若者を育成し、経済成長を維持するための戦略が必要です。モロッコが持続的な成長を遂げるためには、こうした人口動態の変化を見据えた政策が重要となるでしょう。

 

なお、労働については以下の記事で取り扱っていますので、是非ご覧ください。

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