今回はエチオピアの人口構成にフォーカスしてみます。
なお、他の国との人口規模については、こちらで比較しております。
ここではアフリカの経済指標についてざっくり整理します。 アフリカと一言でいっても、アフリカ連合に加盟している国だけでも55か国もあります。なお、外務省のHPを確認すると2021/2/5時点で54か国となっていますが[…]
エチオピアの基本情報
エチオピアは「アフリカの角」と呼ばれるソマリア半島に位置する東アフリカの国です。
エチオピアの人口は2016年時点で約1億人でアフリカでは2番目に人口の多い国です。
人口密度は92人/km2とアフリカ平均の40人/km2の2倍以上の水準にあります。
一人あたりGDPは2016年時点で1,700ドルとアフリカ平均の5,000ドルの3割程度です。
アフリカ諸国の基本的な経済指標については以前まとめていますので、そちらを参照してください。
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また、アフリカ諸国間のGDP成長率の相関については、以下をご覧ください。
今回は2000年以降のアフリカ諸国におけるGDP成長率の相関係数を確認してみます。 まずは、アフリカ諸国のGDPの規模について見てみます。 GDPランキング 以下は2016年のアフリカ諸国におけるGDPランキン[…]
人口の見通し
このグラフは、エチオピアの人口構成の推移を1950年から2100年まで示しています。1950年の人口は約1800万人で、今後も大幅に増加し、2100年には約3億6700万人に達すると予測されています。特に0-14歳(青色)の若年層が長年にわたり大きな割合を占めてきましたが、今後は高齢者人口(65歳以上の青色・緑色)の割合が増える見込みです。この変化はエチオピアの経済や社会制度に重要な影響を与えると考えられ、持続的な成長を支えるための対策が求められます。
出典:UN World Population Prospects 2024
なお人口の平均成長率は1950-2020年では2.7%ほどであり、この先については2020-2050年が2.1%、2050-2100年は1.0%の見通しです。
人口構成の見通し
このグラフは、エチオピアの人口構成の割合を示しており、1950年から2100年までの変化を追っています。0-14歳(青色)の割合は1950年から長期間にわたり高いままでしたが、今後は徐々に減少すると見込まれています。その一方で、65歳以上(青色・緑色)の高齢層の割合が上昇しており、エチオピアでも将来的に高齢化が進むことが予測されています。これに伴い、労働年齢層の減少が経済に与える影響や社会保障制度の強化が重要な課題となってきます。
出典:UN World Population Prospects 2024
人口ボーナス・人口オーナス
豊かな労働力は経済成長に寄与しますが、その労働力の豊富さを図る指標として人口ボーナスと人口オーナスというものがあります。
野村証券によると人口ボーナス(および人口オーナス)を以下のように定義してます。
生産年齢人口(15~64歳)に対する従属人口(14歳以下の年少人口と65歳以上の老年人口の合計)の比率が低下し、経済成長を促すこと。人口ボーナス期では豊富な労働力を背景に個人消費が活発になる一方、高齢者が少なく社会保障費用が抑えられるため、経済が拡大しやすい。逆に従属人口の比率が相対的に上昇することを人口オーナスという。
このグラフは、エチオピアの人口ボーナス/オーナスの推移を示しています。1950年から2000年までの期間では1.0から1.2の間で推移し、低い水準にありましたが、2000年以降、徐々に人口ボーナスが増加し始め、特に2040年から2060年の間にピークとなる2.0に達すると予測されています。その後は再び減少傾向が見られ、2100年には約1.5の水準に戻る見込みです。エチオピアの経済成長には、この人口ボーナスの活用が重要な要素となります。
出典:UN World Population Prospects 2024に基づく推計
男女別の学歴構成
以下は1950-2015年までの男女別の最終学歴の構成です。
ここでは15歳未満は就学前も、在学中も卒業者もすべて合わせています。残りの5つの学歴については15歳以上を対象としています。
出典: Wittgenstein Centre for Demography and Global Human Capitalに基づく推計
エチオピアは他のアフリカの国と同様に未就学シェアが1950年以降減少しており、1950-2015年の期間では男性は54%から38%、女性は56%から45%まで減少しています。
一方、高卒および専門・大卒以上は増加しており、男性はそれぞれ0.2%から4.2%、0.0%から1.2%と拡大しています。
同様に女性も学歴化が進み、高卒および専門・大卒以上はそれぞれ0.0%から3.4%、0.0%から0.5%と、男性と比べると高学歴化は緩やかではあるのももの改善の傾向はみられます。
都市部と農村部人口の構成と人口密度
このグラフは、エチオピアの都市部人口シェアと人口密度の推移を示しています。1960年から2020年にかけて、エチオピアの都市部人口シェアは大幅に増加し、約5%から20%以上に成長しています。同時に、都市部と農村部の人口密度も増加しています。都市部人口密度は3,000人/平方キロメートルを超え、特に都市化が進んでいることが見て取れます。一方で、農村部の人口密度も上昇しており、都市部の発展とともに全体の人口密度が上がっている状況を反映しています。
出典:World Development Indicators, 2024/09に基づく推計
さいごに
エチオピアの人口は今後も急増が予測され、特に若年層から高齢者層まで幅広い層での成長が見られます。これに伴い、エチオピアは労働力の増加と都市化の進展を見込む一方で、社会保障や教育、医療などのインフラ整備が課題となります。持続可能な経済発展を目指し、増加する人口に対応した政策が必要です。安定した社会を構築するためには、教育投資や雇用創出が鍵となるでしょう。
なお、労働については以下の記事で取り扱っていますので、是非ご覧ください。
今回はエチオピアの労働関連のデータについて簡単に整理します。 エチオピアの基本情報 エチオピアは「アフリカの角」と呼ばれるソマリア半島に位置する東アフリカの国です。 エチオピアの人口[…]