今回はチュニジアの貿易について整理します。
なお、チュニジアの新型コロナ感染状況とGDPの見通しに以前まとめていますので、宜しければこちらもこちらをご覧ください。
チュニジアの基本情報
チュニジアはアルジェリアとリビアの間に位置する北アフリカの国です。
チュニジアの人口は2016年時点で約1,100万人とアフリカでは平均的な規模の国です。一方、人口密度は70人/km2とアフリカ平均の40人/km2の2倍近いです。
一人あたりGDPは2016年時点で11,500ドルとアフリカ平均の5,000ドルの2倍以上とアフリカでは比較的裕福な国です。
アフリカ諸国の基本的な経済指標については以前まとめていますので、そちらを参照してください。
ここではアフリカの経済指標についてざっくり整理します。 アフリカと一言でいっても、アフリカ連合に加盟している国だけでも55か国もあります。なお、外務省のHPを確認すると2021/2/5時点で54か国となっていますが[…]
貿易収支の推移
早速ですが、以下は1970年以降のチュニジアのGDPに占める輸出、輸入および貿易収支のシェアを表します。
出所:UN “The National Accounts Main Aggregates Database”
チュニジアでは過去50年ではほとんどの年次で貿易赤字であり、平均-5%の貿易収支となっています。
特に2005年以降は貿易赤字が拡大し2019年では-12%まで貿易赤字が増加しています。
輸出の構成
以下は1991年以降のチュニジアの輸出品の構成です。
チュニジアの主な輸出は8. 機械、5.繊維・アパレル、1.農林水産品・食料品、3.化学製品であり、それぞれ2019年では42%、21%、11%、10%となっています。
出所:UN comtrade. 注:HSコードの最も粗い21分類を10分類へ集計している。
以下は上記の10分類を100分類弱に細分化した分類の上位5品目を取り上げています。
チュニジアでは1990年代は62.衣服が輸出全体で30%以上を占めるなど、主要輸出品となっていました。しかし、1990年代後半からシェアは減少し、その代わりに85.電気機械が1991年の6%から2019年の27%と急拡大しています。
ここでの85.電気機械は絶縁電線や電気回路などの電子部品が大半を占めます。
出所:UN comtrade. 注:分類名称の数字はHSコード2桁を表す。
また、90.精密機械や84.一般機械も同期間でそれぞれ1%から4%と輸出シェアが増加傾向にあります。
輸入の構成
一方、輸入の構成については以下のようになっています。
2019年の輸入の構成は、8.機械が33%、2. 鉱物が17%、3.化学製品が14%、1.農林水産品・食料品と5.繊維・アパレルがともに11%、残りが14%です。
出所:UN comtrade. 注:HSコードの最も粗い21分類を10分類へ集計している。
輸入品の具体的な商品を見ますと、2019年では27.石油天然ガス等が17%、85.電気機械が14%、84. 一般機械が9%、39.プラスチック製品と87.自動車がともに6%です。
出所:UN comtrade. 注:分類名称の数字はHSコード2桁を表す。
特に27.石油天然ガス等、85.電気機械、39.プラスチック製品は1991年以降輸入シェアが一貫して増加傾向にあります。
貿易相手国の構成
次に貿易相手国を確認します。以下は2019年の貿易相手シェアを表します。
最大の輸出相手国はフランスで輸出全体の29%を占めます。
また、5位以内は4位を除きすべてヨーロッパの国で構成されており、この4か国で62%を占めています。
なお、上位10カ国で輸出の81%、上位30か国で94%を占めています。
出所:UN comtrade.
最大の輸入相手国はイタリアで全体の15%を占めており、次ぐフランスは14%です。イタリア、フランスに加え4位のドイツと7位のスペインは輸出相手国の上位5位以内の国でもあります。
3位の中国は10%程度であり他のアフリカの国に比べると存在感が小さくなっています。
なお、上位10カ国では70%、上位30カ国では91%を占めます。
さいごに
チュニジアの貿易の特徴は以下のとおりです。
- 過去50年では平均-5%の貿易赤字。2005年以降は貿易赤字が拡大し2019年では-12%まで増加
- 主な輸出品は繊維・アパレルと近年では電子部品などの電気機械
- 主な輸入品は石油天然ガス、電気機械など。石油天然ガス、電気機械に加えプラスチック製品は増加傾向
- 主な輸出相手国および輸入相手国はフランス、イタリア、ドイツなどのヨーロッパ諸国
以上となります。引き続き他の国についても調べています。