今回は南アフリカにおける児童労働についてデータを整理します。
ただし、児童労働の問題には就学の問題も関連することが多いため、はじめに就学率についてデータを確認します。
南アフリカの基本情報
南アフリカの人口は2016年時点で約5,500万人とアフリカでは6番目に人口の多い国です。
人口密度は45人/km2とアフリカ平均の40人/km2とほぼ近い水準にあります。
一人あたりGDPは2016年時点で13,000ドルとアフリカ平均の5,000ドルの2倍以上です。
アフリカ諸国の基本的な経済指標については以前まとめていますので、そちらを参照してください。
ここではアフリカの経済指標についてざっくり整理します。 アフリカと一言でいっても、アフリカ連合に加盟している国だけでも55か国もあります。なお、外務省のHPを確認すると2021/2/5時点で54か国となっていますが[…]
また、アフリカ諸国間のGDP成長率の相関については、以下をご覧ください。
今回は2000年以降のアフリカ諸国におけるGDP成長率の相関係数を確認してみます。 まずは、アフリカ諸国のGDPの規模について見てみます。 GDPランキング 以下は2016年のアフリカ諸国におけるGDPランキン[…]
就学率(教育)
以下はアフリカ諸国および参考国(米国、中国)における就学率を表します。(括弧内の数字はデータの年次を表します。)
なお、ここでの就学率は初等教育対象年齢人口に対する初等教育に入学した人口をします。
参考国である米国と中国の就学率はそれぞれ、95.6%と89.3%に対し、南アフリカは92.7%と両国の間に位置しており、アフリカ諸国の中でも23番目と標準的な水準となっています。
出所:World Development Indicators, July 2023.
次に、南アフリカの就学率の推移をみます。
1970年代の就学率は70%ほどでしたが、その後は徐々に上昇し、直近では92.7%とほぼ全児童に教育が行き届いている状況に達しています。
なお、男女間であまり格差はないものの、基本的には女子の方が高い水準となっています。
出所:World Development Indicators, July 2023.
なお、人口に占める学歴構成については、以下の時期で取り上げています。
今回は南アフリカの人口構成にフォーカスしてみます。 なお、他の国との人口規模については、こちらで比較しております。 [sitecard subtitle=関連記事 url=https://africa-keizai.com/ba[…]
児童就業率(児童労働)
次に、児童の就業率について確認します。
以下のグラフは7-14歳人口に占める就業率を表しており、左図は全体、中図は男子、右図は女子の就業率のランキングとなっています。
南アフリカの全体の児童就業率は28%でデータの確認できる44か国中26番目となっています。
また、男子は29%で44か国中27番目、女子は26%で27番目と男女ともに標準的な水準となっており、児童労働のおとそ4人に1人は就業している状況となっています。
出所:World Development Indicators, July 2023.
以下の左図は児童労働における産業別構成比を表しており、右図では就業形態別の構成比を表します。
(ただし、データソースであるWDIでは南アフリカのこの産業データは利用できません。)
就業形態を見ると、賃金をもらう雇用者(wage workers)としての児童労働が1割にも満たず、賃金をもらえない家族従業者(unpaid family workers)としての児童労働が8割以上と大半を占めています。
出所:World Development Indicators, July 2023.
なお、一国全体の労働構成については以下の記事を参照ください。
今回は南アフリカの労働関連のデータについて簡単に整理します。 南アフリカの基本情報 南アフリカの人口は2016年時点で約5,500万人とアフリカでは6番目に人口の多い国です。 人口密[…]
さいごに
今回は就学率や児童の就業率や労働時間について整理しましたが、児童労働の賃金データや産業別の児童労働時間などのデータについては確認することができませでした。
しかし、一国全体で見れば賃金や詳細な労働時間については以下の記事で扱っていますので、宜しければご覧ください。
今回は南アフリカの労働統計についてフォーカスしたいと思います。 この記事では、産業別や職業別の平均賃金についてまとめています。 南アフリカの基本情報 南アフリカの人口は2016年時点[…]