今回はモロッコの貿易について整理します。
モロッコの基本情報
モロッコは地中海に接する北アフリカの国です。
モロッコの人口は2016年時点で約3,500万人とアフリカでは11番目に人口が多い国です。
人口密度は78人/km2とアフリカ平均の40人/km2の2倍程度です。
一人あたりGDPは2016年時点で8,100ドルとアフリカ平均の5,000ドルの1.6倍程度です。
アフリカ諸国の基本的な経済指標については以前まとめていますので、そちらを参照してください。
ここではアフリカの経済指標についてざっくり整理します。 アフリカと一言でいっても、アフリカ連合に加盟している国だけでも55か国もあります。なお、外務省のHPを確認すると2021/2/5時点で54か国となっていますが[…]
貿易収支の推移
早速ですが、以下は1970年以降のモロッコのGDPに占める輸出、輸入および貿易収支のシェアになります。
出所:UN “The National Accounts Main Aggregates Database”
モロッコは1970年以降ほとんどの年次で貿易赤字となっており、特に2000年以降は輸入が増加したことで貿易赤字も拡大しています。
輸出の構成
以下は1998年以降のモロッコの輸出品の構成です。
モロッコの輸出品は1. 農林水産品・食料品が約20%、3,化学製品が15%、2.鉱物が10%を占めています。
また、1998年ではおよそ5.繊維・アパレルが40%を占めていましたが、近年では15%程度に減少し、その分8.機械が10%から35%程度まで拡大しています。
出所:UN comtrade. 注:HSコードの最も粗い21分類を10分類へ集計している。
以下は上記の10分類を100分類弱に細分化した分類の上位5品目を取り上げています。
モロッコの最大の輸出品は85.電気機械であり、2010年以降は87.自動車も増加傾向にありモロッコでは電気機械に次ぐ輸出品となっています。
出所:UN comtrade. 注:分類名称の数字はHSコード2桁を表す。
住友商事グローバルリサーチによると、モロッコは治安も良く、また税優遇により外資企業を誘致するフリーゾーンを多数設けることで産業の育成を図っています。
そういった背景により電気機械や自動車などの輸出が増加しているものと思われます。
モロッコの1人当たり名目GDP(2018年)は3,359ドルで、この水準は資源国のリビアやアルジェリアより低いが、エジプ…
輸入の構成
一方、輸入の構成については以下のようになっています。
2019年の輸入の構成は、8.機械が34%、2. 鉱物が17%、13.化学製品が13%、1.農林水産品・食料品が12%、残りが24%です。
出所:UN comtrade. 注:HSコードの最も粗い21分類を10分類へ集計している。
輸入品の具体的な商品を見ると、2019年では27.石油天然ガス等が16%、84.一般機械が11%、87.自動車、85.電気機械がそれぞれ10%を占めています。
特に87.自動車については過去20年でシェアが5%から10%と増加しています。
出所:UN comtrade. 注:分類名称の数字はHSコード2桁を表す。
貿易相手国の構成
次に貿易相手国を確認します。以下は2019年の貿易相手シェアを表します。
モロッコの最大の輸出相手国はスペインで輸出全体の24%に相当します。2番目はフランスの22%、3番目は5%と上位3か国で輸出全体の半分を占めています。
なお、上位10カ国で輸出の71%、上位30カ国では89%を占めています。(なお、日本は0.9%で上位19番目です)
出所:UN comtrade.
また最大の輸入相手国もスペインで全体の16%を占めており、2番目もフランスで13%と輸出相手国上位2か国と同様になっています。
上位10カ国では69%、上位30カ国では91%を占めます。(なお、日本は0.7%で上位26番目です)
さいごに
モロッコの貿易の特徴は以下のとおりです。
- 基本的には過去50年間ほぼ貿易赤字
- 主な輸出品は電気機械や自動車
- 最大の輸出相手国および輸入相手国はスペインとフランス
以上となります。引き続き他の国についても調べています。