今回はセネガルの貿易について整理します。
セネガルの基本情報
セネガルはモーリタニア、マリ、ガンビア、ギニア、ギニアビサウを隣国にもつ西アフリカの国です。
セネガルの人口は2016年時点で約1,600万人とアフリカでは平均的な人口の国です。
人口密度は79人/km2とアフリカ平均の40人/km2の2倍程度です。
一人あたりGDPは2016年時点で2,500ドルとアフリカ平均の5,000ドルの半分程度です。
アフリカ諸国の基本的な経済指標については以前まとめていますので、そちらを参照してください。
ここではアフリカの経済指標についてざっくり整理します。 アフリカと一言でいっても、アフリカ連合に加盟している国だけでも55か国もあります。なお、外務省のHPを確認すると2021/2/5時点で54か国となっていますが[…]
貿易収支の推移
早速ですが、以下は1970年以降のセネガルのGDPに占める輸出、輸入および貿易収支のシェアになります。
出所:UN “The National Accounts Main Aggregates Database”
セネガルの貿易収支状況は1970年以降ほとんどの年次で貿易赤字となっています。
特に1981年には-11%まで貿易赤字が拡大しており、その後は1994年には貿易黒字に転じたものの、2008年には-20%まで再度拡大しています。
現在も貿易赤字は継続しており、2019年では-13%の貿易赤字となっています。
輸出の構成
以下は1996年以降の輸出品の構成です。
2019年の輸出の構成は1. 農林水産品・食料品が33%、2.鉱物が29%、10.宝石・貴金属・美術品が15%、3.化学製品が13%、残りが9%を占めています。
特に1. 農林水産品・食料品と10.宝石・貴金属・美術品はそれぞれ11%から33%、0%から15%と急激に拡大しています。
出所:UN comtrade. 注:HSコードの最も粗い21分類を10分類へ集計している。
以下は上記の10分類を100分類弱に細分化した分類の上位5品目を取り上げています。
セネガルの最大の輸出品は27.石油天然ガスで、変動はあるもののおおよそ輸出全体の2割を占めます。
出所:UN comtrade. 注:分類名称の数字はHSコード2桁を表す。
また、2009年以降71.宝石・貴金属の輸出が急増しています。これは具体的には金(ゴールド)であり、2019年には輸出全体の15%を占めています。
輸入の構成
一方、輸入の構成については以下のようになっています。
2019年の輸入の構成は、2. 鉱物が27%、8.機械が26%、1.農林水産品・食料品が20%、13.化学製品が11%、残りが16%です。
出所:UN comtrade. 注:HSコードの最も粗い21分類を10分類へ集計している。
輸入品の具体的な商品を見ると、2019年では27.石油天然ガス等が26%、84.一般機械が9%、10.穀物、85.電気機械がそれぞれ7%、87.自動車が6%を占めています。
出所:UN comtrade. 注:分類名称の数字はHSコード2桁を表す。
貿易相手国の構成
次に貿易相手国を確認します。以下は2019年の貿易相手シェアを表します。
最大の輸出相手国はマリで輸出全体の23%に相当します。セネガルはもともと1960年にはマリとともにマリ連邦を結成し、フランスから独立するほど関係の深い国です。特にマリは内陸国であるため、マリの輸入はセネガルのダカール港を介して行われることが多いため、マリ向けへの輸出が最大となっています。
なお、上位10カ国で輸出の74%、上位30カ国では94%を占めています。(なお、日本は0.4%で上位28番目です)
出所:UN comtrade.
また最大の輸入相手国はフランスで全体の17%を占めています。
セネガルは1783-1960年と長期にわたりフランスの植民地下にあったため、その関係もあり貿易が盛んに行われいているものと思われます。
なお、上位10カ国では64%、上位30カ国では91%を占めます。(なお、日本は1.7%で上位16番目です)
さいごに
セネガルの貿易の特徴は以下のとおりです。
- 基本的には過去50年間ほぼ貿易赤字
- 主な輸出品は石油天然ガス、金(ゴールド)、など
- 最大の輸出相手国はマリ、輸入相手国はフランス
以上となります。引き続き他の国についても調べています。