今回はサントメプリンシペの労働関連のデータについて簡単に整理します。
サントメプリンシペの基本情報
サントメプリンシペは赤道付近に位置するギニア湾に浮かぶアフリカの島国です。
サントメプリンシペの人口は2016年時点で19万人とアフリカでは2番目に人口の少ない国です。
一方、人口密度は203人/km2とアフリカ平均40人/km2の5倍以上あり、アフリカでは6番目に高い水準です。
一人あたりGDPは2016年時点で3,600ドルとアフリカ平均の5,000ドルの7割程度です。
アフリカ諸国の基本的な経済指標については以前まとめていますので、そちらを参照してください。
ここではアフリカの経済指標についてざっくり整理します。 アフリカと一言でいっても、アフリカ連合に加盟している国だけでも55か国もあります。なお、外務省のHPを確認すると2021/2/5時点で54か国となっていますが[…]
また、アフリカ諸国間のGDP成長率の相関については、以下をご覧ください。
今回は2000年以降のアフリカ諸国におけるGDP成長率の相関係数を確認してみます。 まずは、アフリカ諸国のGDPの規模について見てみます。 GDPランキング 以下は2016年のアフリカ諸国におけるGDPランキン[…]
就業率と失業率、ニート率
就業率
以下は1991年から2019年における男女別の就業率の推移を表しています。
出所：ILO Modelled Estimates, 2020年11月推計
サントメプリンシペの就業率は50%あたりで推移しています。
その間、総じて女性よりも男性の方が40%ポイントほど高い就業率となっています。
失業率
次に失業率について確認します。以下は2019年における失業率のランキングを示します。
2019年におけるサントメプリンシペの失業率は13.1%とアフリカでは比較的高位の水準となっています。
なお、もっとも失業率の高い国は南アフリカの28.5%です。
出所：ILO Modelled Estimates, 2020年11月推計
次に1991年から2019年における男女別の失業率の推移について確認します。
出所：ILO Modelled Estimates, 2020年11月推計
直近の失業率は30%ほどで、1991年からあまり変わっていません。
ただし、男女別に失業率を見ると女性の方が男性に比べて高く、特に2000年以降に限れば女性の失業率は男性に比べて10%ポイント以上高くなっています。
ニート率
次は就学・就労していない、また職業訓練も受けていない若者、いわゆるニート（NEET：Not in Education, Employment or Training）について確認します。
以下は2005年から2019年におけるニート率を示しています。
出所：ILO Modelled Estimates, 2020年11月推計
日本ではニート率は3-4%程度でしたが、サントメプリンシペのニート率は25%前後で推移しており、日本に比べると高くなっています。
また、ニート率は総じて女性が高くなっています。
労働生産性と就業構成
労働生産性
以下は2019年における労働生産性（GDP/就業者数）のランキングを示します。
サントメプリンシペの労働生産性は14,000ドルであり、アフリカでは20番目の水準にあります。
なお、日本の労働生産性は77,500ドル、アフリカでもっとも労働生産性の高いガボンの55,700ドルであり、これらの国に比べるとサントメプリンシペは20-40%程度となっています。
出所：ILO Modelled Estimates, 2020年11月推計
就業構成
以下は1991年から2019年における労働生産性（GDP/就業者数）と就業者全体に占める女性シェアを示します。
出所：ILO Modelled Estimates, 2020年11月推計
サントメプリンシペの労働生産性は1991年時点では10,000ドルに対し、現在は14,000ドルと4割程度増加していません。
また、就業者全体に占める女性シェアは同期間ではやや断層は見られるものの、32%から33%と微増でとどまっています。
職業構成
以下は1991年から2019年における職業構成比の推移を表しています。
出所：ILO Modelled Estimates, 2020年11月推計
サントメプリンシペでは6.農林水産従事者, 9.単純作業従事者のシェアがいまだに35%ほどを占めています。
以下は2019年の男女別の職業構成比を示します。
出所：ILO Modelled Estimates, 2020年11月推計
サントメプリンシペでは職業により男性と女性のシェアの違いは、男性は1.管理職、3.技師、准専門職、7.技能工及び関連職業の従事者、8.設備・機械の運転・組立工が多い一方で、女性は2.専門職、4.事務補助員、5.サービス・販売従事者が多くなっています。
さいごに
サントメプリンシペの労働についてまとめると以下のとおりです。
- 就業率は50%程度
- 失業率は13.1%
- 労働生産性14,000ドル
- 就業者全体に占める女性シェアは33%程度
引き続き他の国についても調べていきます。