今回はエジプトの人口構成にフォーカスしてみます。
なお、他の国との人口規模については、こちらで比較しております。
ここではアフリカの経済指標についてざっくり整理します。 アフリカと一言でいっても、アフリカ連合に加盟している国だけでも55か国もあります。なお、外務省のHPを確認すると2021/2/5時点で54か国となっていますが[…]
人口の見通し
早速ですが、以下はエジプトの1950年から2020年までの年齢階層別の人口の推移と、2100年までの見通しです。
出典:UN World Population Prospects 2019
エジプトの人口は2020年では約1.0億人ですが、70年前の1950年では約2,000万人でした。この期間の人口の平均成長率は2.3%です。
また、将来の見通しでは2030年には1.2億人、2050年には1.6億人、2100年では2.3億人となっています。
人口の平均成長率は2020-2050年が1.5%、2050-2100年は0.7%の見通しです。
人口構成の見通し
こちらは先ほどのグラフの年齢階層シェアの推移です。
1950年では39%あった14歳以下の人口は、2020年では34%まで減少しており、2050年では27%、2100年では18%まで減少する見込みです。
また、80歳以上人口は1950年、2020年、2050年、2100年ではそれぞれ、3%、5%、8%、14%と一貫して増加しています。
出典:UN World Population Prospects 2019
人口ボーナス・人口オーナス
豊かな労働力は経済成長に寄与しますが、その労働力の豊富さを図る指標として人口ボーナスと人口オーナスというものがあります。
野村証券によると人口ボーナスおよび人口オーナスを以下のように定義してます。
生産年齢人口(15~64歳)に対する従属人口(14歳以下の年少人口と65歳以上の老年人口の合計)の比率が低下し、経済成長を促すこと。人口ボーナス期では豊富な労働力を背景に個人消費が活発になる一方、高齢者が少なく社会保障費用が抑えられるため、経済が拡大しやすい。逆に従属人口の比率が相対的に上昇することを人口オーナスという。
以下は、エジプトの1950-2100年の人口ボーナス・人口オーナスを示します。
エジプトは1990-2010年までは人口ボーナス期でしたが、2010-2020年の10年間は人口オーナス期でした。
今後の見込みは2040年までは人口ボーナスが継続すると見込まれています。
出典:UN World Population Prospects 2019に基づく推計
男女別の学歴構成
以下は1950-2015年までの男女別の最終学歴の構成です。
ここでは15歳未満は就学前も、在学中も卒業者もすべて合わせています。残りの5つの学歴については15歳以上を対象としています。
出典: Wittgenstein Centre for Demography and Global Human Capitalに基づく推計
エジプトは未就学は1950年以降急激に減少しており、1950-2015年では男性は54%から16%、女性は61%から24%まで減少しています。
また高卒および専門・大卒以上は増加しており、男性はそれぞれ2%から25%、1%から14%と拡大しています。
同様に女性もそれぞれ0%から21%、0%から12%と男性とほぼ同じペースで増加しています。
エジプトでは男女の教育の格差や識字率の格差について記述している資料は多いですが、データを見る限り女性の教育も確実に改善しているものと思われます。
都市部と農村部人口の構成と人口密度
以下は1960年以降の全人口のうち都市部に住む人口シェアと、都市部、農村部および平均の人口密度の推移です。
なお、都市部と農村部の人口密度はデータの制約上1990年以降の10年おきに推計値になります。
出典:World Development Indicatorsに基づく推計
エジプトの都市部人口シェアは1980年までは上昇傾向にありましたが、それ以降はほぼフラットとなっています。
ただし、人口は増加していることから人口密度は上昇傾向が続いています。
特に都市部の人口密度は1km平方メートルあたり1,500人近くあり、農村部に比べると30倍近く密になっています。
さいごに
エジプトの人口構成と見通しの特徴は以下のとおりです。
- エジプトの人口は1950年、2020年、2100年ではそれぞれ約2,000万人、約1.0億人、2.3億人
- 14歳以下の人口構成は1950年、2020年、2100年では39%、34%、18%まで減少の見込み
- 80歳以上人口は1950年、2020年、2100年ではそれぞれ3%、5%、14%と一貫して増加の見込み
- 1990-2010年までは人口ボーナス期、2010-2020年は人口オーナス期に転じ、今後は2040年までは人口ボーナスが継続すると見込み
- 未就学人口は一貫して減少、一方高卒および専門・大卒以上は一貫して増加
- 都市部人口シェアは1980年までは上昇傾し、その後はフラット
- 都市部の人口密度は農村部の約30倍
引き続き他の国についても調べていきます。