今回はケニアにおける児童労働についてデータを整理します。
ただし、児童労働の問題には就学の問題も関連することが多いため、はじめに就学率についてデータを確認します。
ケニアの基本情報
ケニアはソマリア、エチオピア、ウガンダ、タンザニアを隣国にもつ東アフリカの国です。
ケニアの人口は2016年時点で約4,700万人とアフリカでは7番目に人口が多い国です。
人口密度は81人/km2とアフリカ平均の40人/km2の2倍ほどです。
一人あたりGDPは2016年時点で3,200ドルとアフリカ平均の5,000ドルの6割程度です。
アフリカ諸国の基本的な経済指標については以前まとめていますので、そちらを参照してください。
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また、アフリカ諸国間のGDP成長率の相関については、以下をご覧ください。
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就学率(教育)
以下はアフリカ諸国および参考国(米国、中国)における就学率を表します。(括弧内の数字はデータの年次を表します。)
なお、ここでの就学率は初等教育対象年齢人口に対する初等教育に入学した人口をします。
参考国である米国と中国の就学率はそれぞれ、95.6%と89.3%に対し、ケニアは81.2%と両国よりも低い水準にあり、アフリカ諸国の中でも36番目とやや低い水準となっています。
出所:World Development Indicators, July 2023.
次に、就学率の推移をみます。
2000年代の就学率は60%ほどでしたが、その後は徐々に上昇し、直近では80%と多くの児童に教育が行き届いている状況に達しています。
なお、男女別にみると男女で格差はなく、ほぼ同水準で推移しています。
出所:World Development Indicators, July 2023.
なお、人口に占める学歴構成については、以下の時期で取り上げています。
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児童就業率(児童労働)
次に、児童の就業率について確認します。
以下のグラフは7-14歳人口に占める就業率を表しており、左図は全体、中図は男子、右図は女子の就業率のランキングとなっています。
ケニアの全体の児童就業率は34%でデータの確認できる44か国中18番目となっています。
また、男子は35%で44か国中19番目、女子は34%で17番目と男女ともにやや高い水準となっており、児童の3人に1人は労働をおこなっている状況となっています。
出所:World Development Indicators, July 2023.
以下の左図は児童労働における産業別構成比を表しており、右図では就業形態別の構成比を表します。
(ただし、就業形態別データはデータソースであるWDIでは公表されておりません。)
産業構成を見ると、農業が8割ほど、サービス業が2割ほどとなっており、製造業はほとんどいません。
出所:World Development Indicators, July 2023.
なお、一国全体の労働構成については以下の記事を参照ください。
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児童の平均労働時間
次に、児童の平均労働時間ついて確認します。
以下のグラフは労働に従事している(就業している)児童の週平均労働時間のランキングを示しており、左図は非就学児童の平均労働時間、右図は就学も就業もしている児童の平均労働時間を示しています。
左図の非就学の就業児童の労働時間では、ケニアは45時間と(データの確認できる)アフリカの41か国中2番目に長くなっています。
同様に、右図の就学している就業児童の労働時間は33時間であり(データの確認できる)アフリカの41か国中2番目となっています。
出所:World Development Indicators, July 2023.
男女別の労働時間をみると、非就学の就業児童の労働時間では男子が46時間に対し女子は44時間と男子の方が長い一方で、就学している就業児童の労働時間では男女ともにほぼ33時間で同水準となっています。
出所:World Development Indicators, July 2023.
さいごに
今回は就学率や児童の就業率や労働時間について整理しましたが、児童労働の賃金データや産業別の児童労働時間などのデータについては確認することができませでした。
しかし、一国全体で見れば賃金や詳細な労働時間については以下の記事で扱っていますので、宜しければご覧ください。
今回はケニアの労働統計についてフォーカスしたいと思います。 この記事では、産業別や職業別の平均賃金、また産業別や職業別の平均労働時間についてまとめています。 ケニアの基本情報 ケニアはソマリア、エチオピア、ウガ[…]