今回は赤道ギニアの経済予測について取り上げます。
使用しているデータは国際通貨機関(IMF)が年に2~4回刊行しているWorld Economic Outlook(WEO)を用いています。
WEOでは最新のデータに基づき予測を毎回改訂していますので、過去のデータを顧みることで予測の不確実性を理解したうえで有益なツールとして使用することが望まれます。
赤道ギニアの基本情報
赤道ギニアは、国土のうち9割がアフリカ大陸にあり、残りのは南太西洋のギニア湾に浮かぶ島々から構成されています。
首都マラボは大陸ではなくビオコ島にあります。
赤道ギニアの人口は2016年時点で約90万人とアフリカでは5番目に人口の少ない国です。
人口密度は31人/km2とアフリカ平均の40人/km2の8割程度です。
一人あたりGDPは2016年時点で37,000ドルとアフリカ平均の5,000ドルの7倍以上あり、アフリカではもっとも高い国です。
アフリカ諸国の基本的な経済指標については以前まとめていますので、そちらを参照してください。
こんにちは、KOMEです。 1回目の投稿ではアフリカの経済指標についてざっくり整理します。 アフリカと一言でいっても、アフリカ連合に加盟している国だけでも55か国もあります。なお、外務省のHPを確認すると20[…]
また、アフリカ諸国間のGDP成長率の相関については、以下をご覧ください。
今回は2000年以降のアフリカ諸国におけるGDP成長率の相関係数を確認してみます。 まずは、アフリカ諸国のGDPの規模について見てみます。 GDPランキング 以下は2016年のアフリカ諸国におけるGDPランキン[…]
国際比較ランキング
GDP成長率
以下のグラフは2022~2028年におけるアフリカ諸国の実質GDP成長率のランキングを示しています。
また、参考国として米国、中国および日本を並記しています。当該期間では、中国は4.0%、米国は1.8%、日本は0.8%と予測されており、t日米に関してはアフリカ諸国と比較すると非常に低水準となっています。
赤道ギニアに関しては、同期間では-2.9%ほどの経済成長を見込まれており、アフリカ諸国の中では最も低い水準となっています。
出所:World Economic Outlook Database, April 2023
時系列推移
GDP成長率・一人あたりGDP
以下は2000年以降のGDP成長率(左図)および世界に占めるGDPシェア(右図)の実績値と過去の数時点および直近(Latest)のWEOの予測を表しています。
赤道ギニアのGDP成長率は2000年と2000年前半こそは非常に高い経済成長を遂げましたが、その後は低迷し特に2010年以降はマイナス成長が継続してます。
過去のWEOの予測を見ると、ほぼ0%成長と見込まれることが多く、直近のWEOにおいても2028年にかけて0%成長と見られています。
世界に占めるGDPシェアは非常に小さく実績値は2000年の0.02%ほどあり、一時はシェアが倍増しますが、直近ではほぼ元の水準も戻っています。
出所:World Economic Outlook Database, April 2023
次に以下のグラフは一人あたりの実質GDPの推移を表しています。
出所:World Economic Outlook Database, April 2023
単位は国際比較で用いられる2017年PPP換算(米ドル)を用いています。PPPについては以下の記事でまとめていますので、こちらも参照ください。
今回はアフリカ各国の物価の違いについて整理します。 国際間の物価の違いを表す経済データとして、購買力平価(PPP)というものがあります。今回はこのPPPを用います。 購買力平価(PPP)とは 総務省によると ※ 購買力平価(Pu[…]
一人あたりGDPについては、2000年では15,000ドルほどであり、2008年には40,000ドルまで上昇しますが、2022年には再び15,000ドルほどまで低下しています。
さらに最新のWEOでは2028年には10,000ドル程度まで縮小すると見込まれています。
インフレ率
以下は2000年以降の年次インフレ率(左図)および2000年を基準としたインフレ指数(右図)の実績値と過去の数時点および最新のWEOの予測を表しています。
赤道ギニアではインフレ率は2000年代は高い経済成長に合わせてインフレ率も比較的高く推移していましたが、2010年代以降の経済成長の低迷に連動して、インフレ率もおおよそ1-4%程度に収束しています。
そのため直近のWEOでは2022年は5%ほどのインフラが見込まれていますが、2028年にかけて4%程度まで収束すると見られています。
また、インフレ指数は2000年を100とすると、実績値では2022年は240ほどとなり、さらに2028年の見込みでは300程度まで上昇すると見込まれています。
出所:World Economic Outlook Database, April 2023
なお、過去の物価変動について知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
今回は赤道ギニアのCPIおよびデフレータについて整理します。 なお、ここでは国内での物価の成長率について取り上げます。 物価水準の国際比較については、以下の記事などを参照ください。 [sitecard subtitle=関[…]
政府の歳入歳出・負債
以下は2000年以降の政府の歳入(左図)と歳出(右図)の実績値と過去の数時点および最新のWEOの予測を表しています。
2000年ではGDP比で歳入は20%、歳出は21%ほどとほぼ均衡財政となっていましたが、2022年になると歳入はGDP比で17%、歳出は12%と黒字財政化してます。
しかし、直近のWEOの予測では2028年ではともに12%と再び均衡財政となると予測されています。
出所:World Economic Outlook Database, April 2023
さらに以下は政府の総負債(左図)と純負債(右図)の推移を表しています。
なお、純負債は総負債から債務証券に対応する金融資産(金・SDR、通貨・預金、負債証券、貸付金、保険・年金・標準保証制度、その他売掛金など)を除いたものをさします。
出所:World Economic Outlook Database, April 2023
赤道ギニアのGDPに対する総負債比と純債務比は2000年ではそれぞれ37と36ほどでしたが、2008年にはほぼ0ほどまで改善しています。
しかし、その後は上昇し2022年にはそれぞれ28と16ほどまで上昇しますが、直近のWEOでは2028年には29と18ほどと若干の上昇が見込まれています。
さいごに
今回使用しているWEOは常時データを改訂しています。
特に近年では新型コロナの状況により予測値が大幅に改訂することありますので、新型コロナについて状況を知りたい場合は以下の記事を参照ください。
今回は赤道ギニアの新型コロナの感染状況について簡単に整理します。 赤道ギニアの基本情報 赤道ギニアは、国土のうち9割がアフリカ大陸にあり、残りのは南太西洋のギニア湾に浮かぶ島々から構成されています。 首都マラボ[…]