エチオピアの経済予測:World Economic Outlook Database, October 2022

今回はエチオピアの経済予測について取り上げます。

使用しているデータは国際通貨機関(IMF)が年に2~4回刊行しているWorld Economic Outlook(WEO)を用いています。

WEOでは最新のデータに基づき予測を毎回改訂していますので、過去のデータを顧みることで予測の不確実性を理解したうえで有益なツールとして使用することが望まれます。

 

エチオピアの基本情報

エチオピアは「アフリカの角」と呼ばれるソマリア半島に位置する東アフリカの国です。

 

エチオピアの人口は2016年時点で約1億人でアフリカでは2番目に人口の多い国です。

人口密度は92人/km2とアフリカ平均の40人/km2の2倍以上の水準にあります。

 

一人あたりGDPは2016年時点で1,700ドルとアフリカ平均の5,000ドルの3割程度です。

アフリカ諸国の基本的な経済指標については以前まとめていますので、そちらを参照してください。

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また、アフリカ諸国間のGDP成長率の相関については、以下をご覧ください。

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国際比較ランキング

GDP成長率

以下のグラフは2021~2027年におけるアフリカ諸国の実質GDP成長率のランキングを示しています。

また、参考国として米国と日本を並記しています。当該期間では、米国は2.2%、日本は1.2%と予測されており、アフリカ諸国と比較すると非常に低水準となっています。

 

エチオピアに関しては、同期間では6.1%ほどの経済成長を見込まれており、アフリカ諸国の中では11番目に高い水準となっています。予測GDP成長

出所:World Economic Outlook Database, October 2022

 

なお、過去における経済成長について知りたい方は、以下の記事もご覧ください。

 

時系列推移

GDP成長率・一人あたりGDP

以下は2000年以降のGDP成長率(左図)および世界に占めるGDPシェア(右図)の実績値と過去の数時点および直近(Latest)のWEOの予測を表しています。

エチオピアのGDP成長率は2003年にマイナス成長を経験したのち、2004年には12%とリバウンドしており、その後は徐々に経済成長が鈍化の傾向にあります。

この期間における過去のWEOの予測はおおよそ、7%前後に収束するように見込まれており、最新の予測においても2023年には5.3%と見込まれていますが、2027年には7%まで加速すると見られています。

 

また、世界に占めるGDPシェアの実績値は2000年の0.07%から2021年には0.21%へ急激に上昇しており、さらにWEOの最新の予測では2027年には0.25%まで上昇すると見られています。

なお、WEOの水準が改訂しているのは、GDP統計は随時データの推計方法の変更や会計概念が拡張するため、政府が公表する実績値がその都度改訂してきたことに起因していると考えられます。

エチオピアのGDP予測

出所:World Economic Outlook Database, October 2022

 

次に以下のグラフは一人あたりの実質GDPの推移を表しています。

エチオピアの一人あたりGDP予測

出所:World Economic Outlook Database, October 2022

 

単位は国際比較で用いられる2017年PPP換算(米ドル)を用いています。PPPについては以下の記事でまとめていますので、こちらも参照ください。

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一人あたりGDPについては、2000年では800ドルほどでしたが、2021年では2,900ドルとなり、2027年には3,700ドルほどまで上昇すると見込まれています。

 

インフレ率

以下は2000年以降の年次インフレ率(左図)および2000年を基準としたインフレ指数(右図)の実績値と過去の数時点および最新のWEOの予測を表しています。

 

エチオピアのインフレ率は非常に高いうえに、変動も2001年の-9%から2008年の45%と大きく振れています。

そのため、インフレ率の予測は困難と思われますが、過去のWEOの見通しはおおよそ10%程度で見込まれることが多くなっています。

しかし、直近のWEOでは2022年には35%弱と見込まれており、2027年には15%程度と過去の予測よりも高い水準で収束しています。

 

また、インフレ指数は2000年を100とすると、実績値では2021年は1400ほどとなり、さらに2027年の見込みでは4500強程度まで上昇すると見込まれています。

エチオピアのインフレ率予測

出所:World Economic Outlook Database, October 2022

 

なお、過去の物価変動について知りたい方は、以下の記事もご覧ください。

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政府の歳入歳出・負債

以下は2000年以降の政府の歳入(左図)と歳出(右図)の実績値と過去の数時点および最新のWEOの予測を表しています。

2000年ではGDP比で歳入は17%、歳出は25%ほどと大幅な赤字収支構造となっており、2021年になると歳入はGDP比で11%、歳出は14%と

歳入も歳出も縮小傾向が続いており、結果的に赤字構造は改善しています。

直近のWEOの予測では2027年ではそれぞれ11%と14%と見込まれていますが、過去のトレンドを踏まえると、さらに小さな政府化が進む可能性も考えられます。

エチオピアの歳出歳入

出所:World Economic Outlook Database, October 2022

 

さらに以下は政府の総負債(左図)と純負債(右図)の推移を表しています。

なお、純負債は総負債から債務証券に対応する金融資産(金・SDR、通貨・預金、負債証券、貸付金、保険・年金・標準保証制度、その他売掛金など)を除いたものをさします。

エチオピアの債務

出所:World Economic Outlook Database, October 2022

エチオピアのGDPに対する総負債比と純負債比は2001年ではそれぞれ90と80ほどでしたが、小さな政府が進んだことにより2009年にはそれぞれ30と25程度まで急激に改善しています。

しかし、その後は上昇へ転じ2021年には53と50まで上昇していますが、最新のWEOでは2027年にはそれぞれ36と35まで改善すると見込まれています。

 

さいごに

今回使用しているWEOは常時データを改訂しています。

特に近年では新型コロナの状況により予測値が大幅に改訂することありますので、新型コロナについて状況を知りたい場合は以下の記事を参照ください。

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