タンザニアの経済予測:World Economic Outlook Database, October 2023

今回はタンザニアの経済予測について取り上げます。

使用しているデータは国際通貨機関(IMF)が年に2~4回刊行しているWorld Economic Outlook(WEO)を用いています。

WEOでは最新のデータに基づき予測を毎回改訂していますので、過去のデータを顧みることで予測の不確実性を理解したうえで有益なツールとして使用することが望まれます。

 

タンザニアの基本情報

タンザニアはケニア、ウガンダ、ルワンダ、ブルンジ、コンゴ民主共和国、ザンビア、マラウイ、モザンビークを隣国に持つ東アフリカの国です。

 

タンザニアの人口は2016年時点で約5,500万人とアフリカでは5番目に人口の多い国です。また人口密度は58人/km2とアフリカ平均の40人/km2の1.5倍ほどの密度です。

 

一人あたりGDPは2016年時点で2,700ドルとアフリカ平均の5,000ドルの半分程度となっています。

アフリカ諸国の基本的な経済指標については以前まとめていますので、そちらを参照してください。

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また、アフリカ諸国間のGDP成長率の相関については、以下をご覧ください。

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国際比較ランキング

GDP成長率

以下のグラフは2023~2028年におけるアフリカ諸国の実質GDP成長率のランキングを示しています。

また、参考国として米国、中国および日本を並記しています。当該期間では、中国は4.1%、米国は1.9%、日本は0.8%と予測されており、日米に関してはアフリカ諸国と比較すると非常に低水準となっています。

 

タンザニアに関しては、同期間では6.4%ほどの経済成長を見込まれており、アフリカ諸国の中では6番目に高い水準となっています。

予測GDP成長

出所:World Economic Outlook Database, October 2023

 

時系列推移

GDP成長率・一人あたりGDP

以下は2000年以降のGDP成長率(左図)および世界に占めるGDPシェア(右図)の実績値と過去の数時点および直近(Latest)のWEOの予測を表しています。

タンザニアのGDP成長率は2000年以降安定して高い水準で成長しており、5-8%程度で推移しています。

 

そのため、過去のWEOの予測を見ると、おおよそ7%程度の経済予測を見込まれることが多く、直近のWEOにおいても2028年にかけて7%ほどに収束すると見込まれています。

 

世界に占めるGDPシェアは、実績値では2000年の0.08%ほどであり、2028年には0.15%ほどまで拡大すると見込まれています。

タンザニアのGDP予測

出所:World Economic Outlook Database, October 2023

 

次に以下のグラフは一人あたりの実質GDPの推移を表しています。

タンザニアの一人あたりGDP予測

出所:World Economic Outlook Database, October 2023

 

単位は国際比較で用いられる2017年PPP換算(米ドル)を用いています。PPPについては以下の記事でまとめていますので、こちらも参照ください。

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一人あたりGDPについては、2000年では1,400ドルほどであり、2022年には2,900ドルほどまで上昇しています。

さらに、最新のWEOでは2028年にかけて一人あたりGDPは3,500ドルほどまで上昇すると見込まれています。

 

インフレ率

以下は2000年以降の年次インフレ率(左図)および2000年を基準としたインフレ指数(右図)の実績値と過去の数時点および最新のWEOの予測を表しています。

 

タンザニアではインフレ率は2000年代前半では5%前後でしたが、それ以降インフレが加速し、2012年には16%に達しています。

しかし、その後は下落し、直近では4%ほどに落ち着いています。

過去のWEOの予測を見るとインフレ率は5%ほどで予測されることが多く、直近のWEOのインフレ率の予測についても2028年には4%ほどと見込まれています。

 

インフレ指数は2000年を100とすると、実績値では2022年は400ほどとなり、さらに2028年の見込みでは500程度まで上昇すると見込まれています。

タンザニアのインフレ率予測

出所:World Economic Outlook Database, October 2023

 

なお、過去の物価変動について知りたい方は、以下の記事もご覧ください。

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政府の歳入歳出・負債

以下は2000年以降の政府の歳入(左図)と歳出(右図)の実績値と過去の数時点および最新のWEOの予測を表しています。

2000年ではGDP比で歳入は12%、歳出は13%と赤字財政となっており、2022年になると歳入はGDP比で14%、歳出は18%と赤字幅しています。

なお直近のWEOの予測では2028年ではそれぞれ16%と28%と見込まれており、引き続き赤字収支は継続すると予測されています。

タンザニアの歳出歳入

出所:World Economic Outlook Database, October 2023

 

さらに以下は政府の総負債(左図)と純負債(右図)の推移を表しています。

なお、純負債は総負債から債務証券に対応する金融資産(金・SDR、通貨・預金、負債証券、貸付金、保険・年金・標準保証制度、その他売掛金など)を除いたものをさします。

(ただし、タンザニアについては純負債のデータが公表されておりません。)

タンザニアの債務

出所:World Economic Outlook Database, October 2023

タンザニアのGDPに対する総負債比は2000年では50ほどでしたが、その後下落し2008年には20近くまで改善しますが、その後上昇しはじめ2022年では40ほどまで悪化しています。

しかし、直近のWEOでは2028年には35程度まで改善すると見込まれています。

 

さいごに

今回使用しているWEOは常時データを改訂しています。

特に近年では新型コロナの状況により予測値が大幅に改訂することありますので、新型コロナについて状況を知りたい場合は以下の記事を参照ください。

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