今回はカメルーンの国際連合食糧農業機関(FAO)が公表しているデータからSDGsに関連する指標を見てみようと思います。
ここでは17のゴールのうち、主にGoal2: 飢餓をゼロに、Goals14: 海の豊かさを守ろう、Goals15: 陸の豊かさも守ろう、に関連する指標を扱います。
なお、SDGsについては日本ユニセフ協会のHPにてわかりやすく紹介されていますので、よろしければご覧ください。
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カメルーンの基本情報
カメルーンはナイジェリア、チャド、中央アフリカ共和国、コンゴ、赤道ギニア、ガボンに接する中央アフリカの国です。
カメルーンの人口は2016年時点で約2,400万人で、アフリカではやや人口の多い国です。
一方、一人あたりGDPは2016年時点で3,200ドルとアフリカ平均の5,000ドルの6割程度とアフリカではやや低位の国です。
アフリカ諸国の基本的な経済指標については以前まとめていますので、そちらを参照してください。
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また、アフリカ諸国間のGDP成長率の相関については、以下をご覧ください。
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飢餓
Goal2「飢餓をゼロに」に関して、以下では栄養不足人口(左図)と人口に占める栄養不足蔓延率(右図)をランキングしてます。
国名の横のカッコ内には利用している年次を表しています。
なお、参考国としてここでは日本と中国を並記していますが、両国の栄養不足蔓延率はともに3%程度となっていますが、人口の違いにより栄養不足人口は大幅に異なっています。
カメルーンの栄養不足人口は180万人であり、(データの確認できる限りでは)アフリカで22番目に多い国です。
また、人口に占める栄養不足人口率は6.7%であり、アフリカで35番目となっています。
出所:SDG Indicators, FAO stat, December 2022.
以下は栄養不足人口と人口に占める栄養不足蔓延率に関する2000年以降の推移を表します。
2000年代前半では350万人ほどいた栄養不足人口は2012年にかけて急激に減少し、一時は100万人ほどまで減少しますが、直近では18o万人まで再度増加しています。
また、それに連動して栄養不足蔓延率も23%ほどから2012年には5%ほどまで減少し、その後は横ばいに推移しています。
出所:SDG Indicators, FAO stat, December 2022.
なお、以下の記事では貧困率について扱っていますので、よろしければそちらもご覧ください。
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農業
Goal2「飢餓をゼロに」関連して、ここでは農業について扱います。
以下はGDPに占める農業シェア(左図)と政府支出に占める農業関連シェア(右図)をランキングしています。
なお、参考国としてここでは日本、米国、中国を並記しています。
GDPに占める農業シェアに関して、カメルーンは15%ほどでありアフリカでは32番目です。
一方、政府支出に占める農業関連シェアについては、カメルーンは対象外となっています。
出所:SDG Indicators, FAO stat, December 2022.
以下は、GDPに占める農業シェアと政府支出に占める農業関連シェアの2000年以降の推移を表しています。
農業のGDPシェアは15%ほどから一時は13%ほどまで減少ますが、直近では元の水準に戻っています。
出所:SDG Indicators, FAO stat, December 2022.
漁業
Goals14「海の豊かさを守ろう」に関連して、ここでは持続可能な魚類資源割合(左図)とGDPに占める持続可能な漁業シェア(右図)をランキングしています。
また参考国としてここでは日本、米国を並記していますが、日本と米国はともに持続可能な魚類資源割合(左図)では7割程度となっています。
この指標でデータの利用できる国が少なく、持続可能な魚類資源割合についてはカメルーンは非対象国となっていますので、ここでは参考程度に載せておきます。
一方、GDPに占める持続可能な漁業シェアについては0.2%であり(データの確認できる限りでは)アフリカでは21番目となっています。
出所:SDG Indicators, FAO stat, December 2022.
なお、一国全体における農林水産業や各産業のGDPシェアについて以下の記事をご覧ください。
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森林
Goals15「陸の豊かさも守ろう」に関して、ここでは国土に占める森林割合(左図)と森林における長期管理計画下割合(右図)をランキングしていています。
ここでは参考国として日本、米国、中国を並記しています。
カメルーンの森林面積割合は43%であり、アフリカでは14番目となっています。
また、森林における長期管理計画下割合については60%でアフリカでは5番目となっています。
出所:SDG Indicators, FAO stat, December 2022.
上記の指標について2000年以降の推移を表しているのが、以下のグラフです。
国土に占める森林割合は2000年では45%ほどありましたが、直近では43%近くまで減少しています。
しかし、森林面積に占める長期管理計画下は53%ほどから60%ほどまで増加しています。
出所:SDG Indicators, FAO stat, December 2022.
なお、以下のリンクでは森林や自然を一国全体の資本(国富)として試算値していますので、よろしければご覧ください。
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さいごに
この記事ではFAOのデータベースを用いて作成しています。
そのためSDGsの指標としては偏りがありますが、SDGsには他にも様々なGoalsやそれに関連する指標があります。
そういった情報については法政大学の川久保研究室のホームページにて詳細を知ることができますので、よろしければご覧ください。