今回はアフリカ諸国との比較の参考国として、日本の労働統計についてフォーカスしたいと思います。
この記事では、産業別や職業別の平均賃金、また産業別や職業別の平均労働時間についてまとめています。
雇用者の平均賃金
アフリカ諸国の賃金
以下のグラフはアフリカ諸国における雇用者の月額平均賃金のランキングを表します。
日本の賃金は2,801ドルであり、アフリカでもっとも賃金の高いセーシェル(1,050ドル)の3倍近く高い水準となっていますが、米国に比べると6割程度に留まっています。
出所:ILOSTAT. Last update on 09/10/2022
賃金の時系列推移
以下のグラフは2010年以降のガーナにおける平均賃金と、男女間の賃金格差率の推移を表します。
なお、為替レートでの換算では変動が大きいため、この節では2017年の購買力平価(PPP)を用いています。
出所:ILOSTAT. Last update on 09/10/2022
PPP(購買力平価)について詳しく知りたい人はこちらを参照してください。
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日本の月額の平均賃金(PPP換算)は2010年の2,400ドルから2021年には2,750ドル程度まで10%以上上昇しています。
また、女性の賃金は同期間において男性比(男性の賃金=1.0)で0.7から0.75まで縮小しています。
産業別賃金
以下は2021年における為替レート換算した産業間の月額平均賃金を表しています。
産業別にみると、M.専門・科学・技術サービス業が3,525ドルともっとも高い賃金である一方で、I.宿泊・飲食サービス業では2,347ドルでもっとも低い賃金となっています。
女性の賃金に限定すればJ.情報通信業がもっともに高いのに対し、同様にI.宿泊・飲食サービス業がもっとも低い賃金となっています。
備考:グラフ内の数字は全体(Total)の賃金を表しています。
出所:ILOSTAT. Last update on 09/10/2022
雇用者の平均労働時間
アフリカ諸国の雇用者の平均労働時間
以下のグラフはアフリカ諸国における雇用者の週間平均労働時間のランキングを表します。
日本の労働時間は37時間とアフリカ諸国と比べても短時間となっており、米国と同水準となっています。
出所:ILOSTAT. Last update on 09/10/2022
労働時間の時系列推移
以下のグラフは2010年以降の日本における週平均労働時間の推移を表します。
出所:ILOSTAT. Last update on 09/10/2022
日本の労働時間は2012年では週40時間でしたが、2021年以降は37時間に減少しています。
また、女性の労働時間は男性に比べると平均して10時間ほど短くなっています。
産業別・職業別労働時間
以下は2021年における産業間(左図)・職業間(右図)の週平均労働時間を表しています。
産業別にみると、I.宿泊・飲食サービス業が28時間ともっとも労働時間が短い一方で、B.鉱業が43時間でもっとも長い労働時間となっています。
一方、女性は同じくI.宿泊・飲食サービス業の労働時間がもっとも短い一方で、J.情報通信業の労働時間がもっとも長くなっています。
備考:グラフ内の数字は全体(Total)の労働時間を表しています。
出所:ILOSTAT. Last update on 09/10/2022
職業別では、9.単純作業従事者が31時間でもっとも短い労働時間であるのに対し、もっとも長い労働時間は8.設備・機械の運転・組立工の41時間です。
一方、女性の労働時間は同様に9.単純作業従事者がもっとも労働時間が短い一方で、3.技師、准専門職がもっとも長くなっています。
さいごに
今回は労働統計における雇用者の賃金や労働時間について見てきました。
なお、就業者構成や産業別労働生産性などについては、以下の記事をご参照ください。
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